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AIが仕事を奪うのか?ラッダイト運動から考えるこれからの働き方

AIが仕事を奪うのか?ラッダイト運動から考えるこれからの働き方

AI(人工知能)の進歩とともに、「AI(人工知能)が人間の仕事を奪う」という説が現れるようになりました。しかし、本当にAI(人工知能)や機械が人間の仕事を奪うのか疑問ですよね。

実は18世紀の産業革命時に起こった「ラッダイト運動」と呼ばれる機械によって仕事を奪われた人たちの抗議活動というものがあったのですが、現在の「AI(人工知能)が人間の仕事を奪う」という状況に似ています。

そしてAI(人工知能)や機械による自動化が進むとともに、私たちの生活や働き方は変化しています。例えばコンビニやスーパーマーケットではセルフレジの普及が進み、レジ打ちを行う店員さんの人数は減りました。

またECサイトの普及は街のお店の売上に影響を与えています。以前は実際にお店へ足を運んで店員さんと相談しながら服を買ったり、お店をめぐる中で欲しいものを見つけるのが普通でした。しかし今では買い物をECサイトで済ませる人も増えています。

機械やAI(人工知能)の進歩によって私たちの生活が便利になるのは望ましいことです。一方で、確かにAI(人工知能)が人間の仕事を奪っているようにも見えます。そのため、人間の仕事を守るためにAI(人工知能)の進歩に反発する人も登場してきました。

このようにAI(人工知能)の普及に抗議する人たちの運動は「ネオラッダイト運動」と呼ばれています。これは「ラッダイト運動」に由来する言葉です。では、ラッダイト運動とはどのような運動なのでしょうか。

そこで今回は、AI(人工知能)の進歩についてと「ラッダイト運動」「ネオラッダイト運動」についてお伝えします。

AI(人工知能)で仕事が減るって本当?

仕事するイメージ

従来は「AI(人工知能)やロボットは決まった仕事しかできない」というイメージが一般的でした。そのため、頭脳労働を行う方々も多い現代社会において、人間にしか出来ない仕事はまだまだ沢山あるというのが一般的な見解でした。

しかしAI(人工知能)の進歩は著しいです。例えば化学の分野では、有望な材料を得るために研究者が日々合成反応を行い続けるのが従来の手法でした。しかし最近では有望な材料の化学構造を予想できるAI(人工知能)も開発されています。つまり頭脳労働の代表例とも言える研究職がAI(人工知能)に置き換えられる未来もあり得るのです。

また最近は人間と一緒の現場で働くロボットが普及し始めています。AI(人工知能)の進歩でロボットが複数の作業を覚えられるようになったこと、世界的なCOVID‑19の流行を受けて工場でも「密」を回避することが望まれていること、この2つの理由がロボットの普及を加速させています。

AI(人工知能)の進歩とCOVID-19対策という2つの観点から、人間の仕事がAI(人工知能)に置き換えられるという流れはこれから更に加速することでしょう。

産業革命時のラッダイト運動

失業のイメージ

ところで、先に述べた「機械によって人々の働き方が変わる」という現象は21世紀に初めて起こった現象ではありません。実は18世紀後半から19世紀にかけて発生した「産業革命」で類似した現象が起こりました。

産業革命で主に変化したのは織物産業での人々の働き方です。産業革命によって、従来は手動で行われていた織物業界で水力、蒸気機関を動力とする紡績機が登場しました。この紡績機は織物の大量生産、コスト削減、品質安定化を実現させました。

一方で紡績機の登場によって多くの労働者は職を失ったり、長時間の労働を余儀なくされました。このような苦しい状況に置かれた労働者は「紡績機などの機械が我々の仕事を奪った」と考え、機械や工場を破壊するようになりました。この抗議運動が「ラッダイト運動」と呼ばれる運動です。

当時産業革命が最も進んでおり、ラッダイト運動も過激であったイギリスでは政府が運動を厳しく取り締まりました。しかしラッダイト運動は労働者からの支持が強く、運動の収束まで6年かかりました。

昔のことじゃない!ネオラッダイト運動とは

デジタルのイメージ

「ラッダイト運動は100年以上昔の出来事であり、今の時代に工場の破壊などの抗議運動は起こらないのでは?」と感じている方々もいるかもしれません。しかし、実は現代においてもAI(人工知能)の普及に抗議する「ネオラッダイト運動」が行われています。

ネオラッダイト運動が始まったのは1990年代で、抗議の対象は当時普及し始めた銀行のATMやAmazonなどのECサイトでした。ATMによって銀行の窓口の人々が職を失う、Amazonによって本屋がなくなる、といった危機感を持った人々が起こした抗議活動がネオラッダイト運動の始まりです。

技術の進歩とともにネオラッダイト運動の対象は変わります。例えば海外ではタクシーの自動配車サービスであるUberの普及によって苦境に立たされたタクシー業界の労働者がUberのタクシーを放火するといった過激なネオラッダイト運動を行っています。今後も新しい技術の誕生とともに、その技術に影響を受けた労働者がネオラッダイト運動を行うことが懸念されています。

ネオラッダイト運動と技術的特異点

窓口のイメージ

AI(人工知能)は日々進歩し続けています。AI(人工知能)の進歩に関して、「AI(人工知能)の知性が人類の知性を上回る」という「技術的特異点(シンギュラリティ)」が到来するという仮説があります。

※「技術的特異点(シンギュラリティ)」についての解説はこちら

技術的特異点が到来すると予想されている2045年頃までに、多くの仕事でAI(人工知能)が人間の代わりに仕事を行うだろうと予想されています。そして「AI(人工知能)によって我々の仕事が奪われた」と感じる人が増えると、前述のUberへの攻撃のようなネオラッダイト運動が生じる可能性があります。

今後、自動運転車の普及や窓口業務の自動化が進んでいくと予想されます。それに伴い、運転手や窓口係、さらには営業員まで仕事を失うとも言われています。この流れで仕事を失った人々が過激なネオラッダイト運動を行うのではないか、という懸念が各国で唱えられています。

AI(人工知能)やIoTなどを駆使したこれからの働き方とは

これからの働き方のイメージ

AI(人工知能)の進歩、ならびに人々の働き方の変化を我々個人が止めることは難しいでしょう。たとえネオラッダイト運動が暴力的な活動を行ったとしても、最終的に鎮圧されていくはずです。それならば私たちはAI(人工知能)やIoTなどの技術と対立せず、むしろ積極的に利用して働くのが賢明です。

では私たちはどのようにAI(人工知能)などを利用するのがよいのでしょうか。ここで改めて産業革命時代に戻って考えてみましょう。産業革命による自動化、機械化によって確かに従来の手動作業はなくなりました。一方で機械化により企業の生産性が向上し、業績も向上したため、労働者は以前より高い給料を受け取ることができるようになりました。つまり機械のおかげで労働者の所得は増加したのです。

また機械化によって新たな職業も誕生しました。その代表例が「デザイナー」です。機械によって作られる製品は画一的でデザイン性に乏しいものばかりでした。そこで「デザイン性の高い製品」という新しい価値を生み出す職業としてデザイナーの需要が高まったのです。

これらの現象を今の時代に置き換えて考えてみましょう。まず、AI(人工知能)やIoTを用いて企業の生産性を上げたり、新しい「価値」を創り上げたりすることが私たちに求められます。これが結果的に企業の業績向上に繋がり、ひいては労働者の雇用確保、ならびに給与などの労働条件向上に寄与するためです。

またAI(人工知能)やIoTが行えない領域は未だに存在します。その代表例はコミュニケーション能力が問われる仕事です。AI(人工知能)はまだ、人間の細かな感情を理解することができません。そのため、人々が円滑な意思疎通を行う仕事、チームで取り組む仕事、さらには世の中の人々に求められる新たな「価値」を創造する仕事などはこれからも残っていくことでしょう。これらの仕事を円滑にすすめるためにAI(人工知能)やIoTをツールとして利用できる人たちが今後ますます求められていくと予想されます。

まとめ
さて、今回はAI(人工知能)の進歩についてお話とともに「ラッダイト運動」「ネオラッダイト運動」についてお伝えしました。

「人は変化することや未知の世界に飛び込むことを嫌い、現状維持を望む傾向がある」これを「現状維持バイアス」と呼びます。AI(人工知能)によって働き方、場合によっては職業が変化することを望まない人が生まれるのは仕方がないことかもしれません。

一方でAI(人工知能)の進歩は世界的な大きな流れになっています。暴力的な行動で反抗するネオラッダイト運動がこの大きな流れを止めることはできないでしょう。それならば感情的に反発するのではなく、変化を受け入れたうえで自分自身にAI(人工知能)に置き換えられない「価値」をつける努力をしたほうが建設的ではないでしょうか。

変化をせずにAI(人工知能)によって置き換えられる働き方を選択するか、それとも今からコミュニケーション能力などAI(人工知能)が持っていない能力を鍛えるか、選択肢は一人ひとりに委ねられています。AI(人工知能)が普及した社会でも生き残るため、今から能力を高めていきましょう。

【お知らせ】

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