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量子コンピュータで変わった!今人工知能(AI)が流行るワケとは

量子コンピュータのイメージ

ここ数年、「人工知能(AI)」という言葉をよく耳にするようになりましたよね。例えば、自動車の自動運転技術に関してはニュースでもよく取り上げられています。このように、流行りにもなっている人工知能(AI)ですが、実は人工知能(AI)自体は50年以上前に誕生したものなのです。ではどうして今、人工知能(AI)がブームとなっているのでしょうか。

近年人工知能(AI)が流行っている理由の一つとして、「量子コンピュータ」というキーワードが挙げられます。量子コンピュータとはその名前の通り、量子力学の原理が用いられたコンピュータ。なんと、人工知能(AI)に量子コンピュータを組み合わせることで、すごい進化が期待できるのです。そこで今回は、人工知能(AI)が今流行っているワケを量子コンピュータとの関係を含めて紹介します。

量子コンピュータと人工知能(AI)を組み合わせると学習効果が高まる

コンピュータのイメージ

2018年、東北大学と株式会社デンソーによる共同研究チームが、「量子アニーリングによって人工知能の性能が向上する」という研究結果を示しました。

「量子アニーリング」とは、量子コンピュータの方式のひとつ。

人工知能(AI)の技術である機械学習やディープラーニング(深層学習)に、量子アニーリングを適用することで、今までよりも学習効果が高まることが発見されました。

とはいえ、

量子アニーリングによってどうして機械学習の学習効果が高まるの?

と疑問を感じた人も多いですよね。

例えば、機械学習によって犬と猫の画像を識別するとしましょう。コンピュータに学ばせるには、犬と猫の画像を大量に与える必要があります。しかし、耳や目、手足等どんな部分が強調されたデータを与えればよいのか、どんな組み合わせで画像を選んだらコンピュータが上手に学習できるのかという点で悩んでしまいます。

そこで活躍するのが量子アニーリング方式の量子コンピュータ。

量子アニーリングは、このような「どんなモノを選んだら最適だろう?」という最適化問題と呼ばれる問題を解くのが得意です。つまり、量子コンピュータを用いれば人工知能(AI)が機械学習するために最適なデータを選んで与えることができます。
先ほどの犬と猫の画像の話に戻りますが、量子コンピュータは「耳の画像を40%、目の画像を30%、手足の画像を30%ぐらい与えると最も効率的に犬と猫が判別できる!」という解答をほんの短時間で導き出してくれるのです。

また、東北大学と株式会社デンソーによる共同研究チームは、量子アニーリングによって「機械学習における最適化問題を解く」という研究を行い、機械学習における最適化問題では、効率的に予習を行うことで本番の試験の成績向上を目指しました。

ここで、量子アニーリングを利用してみたところ本番で、予習では提示されなかった未知のデータが登場しても上手に課題をこなせたのです。

私たちも試験本番の前には、試験に対する予習や今まで勉強したことの復習を行います。しかし本番では、「こんな問題予習していないよ!どうしよう」と焦ることもあるでしょう。にも関わらず、一生懸命問題を解いてみたら「未知の問題だったのに解けちゃった!」なんてことも。これとよく似たことが、量子コンピュータと人工知能(AI)の組み合わせでも起こったということです。

今までのコンピュータでは、人間の脳と同じように「未知のデータに対応する」ことは不可能でした。しかし、量子コンピュータによって人工知能(AI)が変わったのです。これは、ますます人工知能(AI)が人間に近づいた、とも言えるのではないでしょうか。

量子コンピュータによって人工知能(AI)が流行るワケ

自動運転やカーナビのイメージ

冒頭でお伝えした自動車の自動運転技術。自動運転技術に人工知能(AI)を導入することで、従来のコンピュータよりもずっと安全に正確な運転が可能となります。

例えば、走行中に車の前をボールが転がっていったとしましょう。人間ならば、「こんなところにボールが!もしかして子供が飛び出してくるかも!」と瞬時に判断し、車のスピードを緩めます。しかし従来のコンピュータではボールが通り過ぎると、「前方に障害物なし。走行可能」と判断してスピードを維持して走り続けてしまう。

これでは、自動車の自動運転は危なすぎますよね。

そこで、自動車に人工知能(AI)を導入することで、「左からボールが転がってきたということは、また左から何かが飛び出してくるかもしれない」と予知できるようになるのです。人工知能(AI)では従来のコンピュータでは不可能であった「危険を予知する」ということが可能。

しかし、

「人工知能(AI)による自動運転は数年前から話題になっていたし、流行りは過ぎたんじゃないの?」

と思うでしょう。

実は、量子コンピュータによって人工知能(AI)はさらに進化しています。先ほど、量子アニーリング方式の量子コンピュータは最適化問題を解くのが得意とお話しました。

自動運転の自動車に量子コンピュータと人工知能(AI)を組み合わせて導入することで、常に目的地への最適なルートを探し出してくれるようになります。

どういうことかというと、現在でも自動車はインターネットに繋がり、カーナビゲーションシステムで交通状況も必要に応じて把握できるようになっています。しかし、ガソリンスタンド・病院・スーパーなど、複数の目的地に出かけるとき、どのルートで立ち寄るのが最適なのか考えるのは人間です。

そこで量子コンピュータがあれば、量子アニーリング方式で最適なルートを導き出してくれます。当然、交通状況も考慮した上で最も効率的なルートを提示。近い将来、自動運転車に量子コンピュータと人工知能(AI)が組み合わされて導入されれば、今よりも安全に最適なルートでドライブを楽しめるようになるでしょう。

家族で車に乗って、ワイワイ楽しんでいる間に自動運転でコンビニ、動物園に立ち寄りながらホテルへ到着。すごくワクワクしませんか?このように、私たちに身近な自動車の自動運転技術が量子コンピュータによって向上し、もはや夢ではないということが、今人工知能(AI)が流行っている理由のひとつです。

同じように、量子コンピュータと人工知能(AI)を組み合わせると、世界規模の物流も最適化できます。

船や飛行機で、どの国をどのような順番で、どんなルートで移動すれば最適なのかを量子コンピュータが導き出します。さらに人工知能(AI)が各地の天候や港や空港の状況を把握。すると、船や飛行機が最も効率的に移動して物資を各国へ運べるようになるでしょう。また、ルートの最適化によって船や飛行機の燃料も節約できるので、環境に与える負荷も減らせます。

 

量子コンピュータのイメージ

今回は、人工知能(AI)が流行っているワケを量子コンピュータと共に紹介しました。

東北大学と株式会社デンソーによる共同研究チームの研究によって、量子アニーリングが人工知能(AI)の機械学習効果が高まることが分かりました。量子アニーリング方式の量子コンピュータは、「どんなモノを選んだら最適だろう?」といった最適化問題を解くのが得意です。

そして量子コンピュータの特技を利用して、私たちの生活に身近な自動車の自動運転技術も向上するでしょう。寄り道したい場所が複数あっても、車が自動運転で最適なルートを選んで連れて行ってくれる、ということはもはや夢ではありません。

このように、量子コンピュータによって人工知能(AI)の技術が向上したことで、今まさに人工知能(AI)がブームとなっているのです。

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