AI(人工知能)と健康管理

介護ロボットが扱える資格!スマート介護士についてまとめてみた

介護のイメージ

高齢化社会へまっしぐらの日本、介護問題は「する側」も「される側」も悩みは尽きないです。そんな中、2019年に「スマート介護士」という資格が誕生しました。まだ新しい資格なので「聞いたことがない」という方も多いでしょう。

少子高齢化といわれて久しく、最近は介護施設が次々とオープンしています。でもなかなか厳しい介護職、どこも人手不足が常態化しているのはみなさんもよくご存じですよね。

そんな厳しい介護業界を救うべく、最近は介護ロボットの開発がどんどん進んでいます。

介護ロボットは介護スタッフの負担軽減はもちろん、介護される側にもロボット相手なら「申し訳ない」とか「恥ずかしい」といった心理的な負担がないので、余計なストレスを感じなくてすむでしょう。ですが、ロボット相手だと怖いといった声もあります。

ですから介護ロボットが扱える資格「スマート介護士」が登場したのです。

そこで今回は、この「スマート介護士」について詳しく解説していきましょう。

「スマート介護」ってなんだろう

介護のイメージ

まず、そもそも「スマート介護」ってどういう意味かわからないですよね。この「スマート介護」は比較的最近できた言葉で、現在、次の2種類の意味があります。

  • 介護用品カタログを扱うサービス名「スマート介護」
  • 民間資格の「スマート介護士」

株式会社プラスの「スマート介護」

まずは株式会社プラスの「スマート介護」。

こちらは介護・福祉施設向けサポート付きデリバリーサービスです。株式会社プラスは総合事務用品メーカーで、最近は時代に即した独自のサービスを展開しており「スマート介護」もそのひとつ。

  • 介護用品全般のカタログ販売
  • 専門知識を持った担当者の経営サポート・スタッフサポート
  • 施設でのレクリエーション提案をカタログや無料動画で公開

などといったサービス内容で、2014年にスタートして以来、現在28,000以上の介護福祉施設で利用されています。

スマート介護

「スマート介護士」資格

社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所による民間資格「スマート介護士」。

今回はこの「スマート介護士」について取り上げていきます。では、介護ロボット導入時の「スマート介護士」の役割についてご説明しましょう。

介護ロボットの導入はスマート介護士が担当

ロボットのイメージ

「介護ロボット」と聞いてまず思い浮かべるのは愛らしい姿のコミュニケーションロボットかもしれません。でも実際、介護ロボットの種類の多さは想像以上。機能的に分類すると

  • 介護支援型:入浴や排泄、移乗を助けるロボット
  • 自立支援型:歩行やリハビリ、食事などを支援するロボット
  • コミュニケーション・セキュリティ型:コミュニケーションや見守りをするロボット

この3つに分けられますが、それぞれの型にも多種多様のロボットがあります。

これだけいろいろなロボットがあると、どの施設にどんなロボットが必要なのか、どんなふうに使いこなせばいいのか難しそうでしょう。これを解決するのが「スマート介護士」なのです。

現在、介護ロボットの進化はめざましいものがありますが、その割に普及がほとんど進んでいません。

「利用したい」と考えている施設は多いのですが、知識やノウハウが追いついていないのが現状です。

人手不足で困っている介護施設に、介護ロボットを導入するには専門知識が必要。ですから「スマート介護士」がその役割を果たしてくれます。

次にこの「スマート介護士」ができることについて解説しましょう。

「スマート介護士」ができること

スマート介護のイメージ

「スマート介護士」は

  • 介護ロボットの導入:どんな介護ロボットを導入すれば、介護の質が上がるか
  • 現場でのオペレーション:どんなふうに利用すれば業務の効率化に役立つか

このような問題を解決するのが大きな役割です。

介護ロボットの導入

よくありがちなのが「介護ロボットの導入」が目的になること。「導入ありき」になるとせっかくの介護ロボットを活用しきれず費用対効果が薄くなってしまいます。

まずはその施設の課題を分析することが大切。その上でどんな介護ロボットを導入するか、ロボット活用にあたってのチームの編成まで鑑みて導入を検討します。

介護ロボットを導入することによって「介護の質と業務効率化がどのように変化するか」を考えることが最も重要となるでしょう。

最適なオペレーションを提案

介護ロボットを導入後、スマート介護士の役割は操作方法の指導だけではありません。日常の業務に介護ロボットをどのように取り入れていくのかが最重要課題。

忙しい現場で新しいしくみを取り入れるのは、長年業務に携わっている人ほど難しいものですよね。より介護ロボットを有効活用するためには、まずスタッフの心理的ハードルを取り除き、全員がその機能を十分に活用できるようになることが大切です。
介護ロボットを使いこなすには、スタッフの状態・利用者(被介護者)の状態・施設の状態によって、大きく方法が変わってきます。

現場に応じた活用方法を試行錯誤しながら、臨機応変に対応していくのがスマート介護士の役割といえるでしょう。

そして結果的にスマート介護士は「正しい介護業務のあり方を作り出す」ことができるようになります。介護ロボットはあくまで道具のひとつ。業務改善こそが最終目標なのです。

次に「スマート介護士」資格の概要についてまとめてみました。

「スマート介護士」資格の概要とは

スマート介護士のイメージ

スマート介護士は、社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所が新設した民間資格。

第1回が2019年3月、直近では2020年2月に第3回が実施されました。第4回は2020年9月実施予定で、今のところ年2回ペースとなっています。

第3回時点での等級は2種類で、受験費用は

  • スマート介護士Basic(初級)  6,600円(税込)
  • スマート介護士Expert(中級)  8,800円(税込)
  • BasicとExpertの併願 13,860円(税込)

このようになっています。

公式テキストは内容が変更になる場合があるので、試験実施公表時に指示された最新版で学習しましょう。

受験資格は特になく、難易度は

  • Basic:テキストをしっかり読めば誰でも合格できる
  • Expert:テキストの内容を深く理解していないと合格できない

このようなレベルに。BasicとExpertの難易度差は結構大きいのですが、Expertの方でも1、2か月しっかり勉強すれば合格できるでしょう。

実際資格として役に立つのはExpertの方。どちらも介護の知識がなくてもテキストのみの学習で合格は可能です。

今後の見通しとして下記の等級も追加される見込み。

  • Beginner:入門編でBasicより基礎的な内容
  • Professional:Expertより上級資格

難易度に幅ができるので今後受験者が増えるかもしれません。スマート介護士は厳しい介護現場の救世主として期待できそうですよね。

スマート介護士

では次に「スマート介護」によってどのような未来が待っているのでしょうか。

「スマート介護」で変わる介護・福祉の未来

介護の未来のイメージ

今後日本は75歳以上の高齢者割合が、ますます増加していきます。

政府も介護ロボットの開発・普及に向けて施策を打ち出していますがまだその効果は見えてきません。そんな中、今回ご紹介した「スマート介護士」資格は、現状を打開してくれそうな頼もしい存在ですよね。

今後期待されている介護は「快適さの追求」はもちろん「自立をサポート」することでしょう。

それは「潜在能力を引き出す支援」ともいえます。これには想像をはるかに超える時間と労力が必要です。お手伝いしてしまう方が簡単だけれど、それでは「自立」を妨げてしまいます。厳しい労働環境では「時間と労力」をかけるなんて、到底無理な話ですよね。

「スマート介護士」による介護ロボットの導入でスタッフの負担を軽減することができれば、今後人材確保も期待できそうです。
またロボットと人間それぞれの良さを生かせば、よりレベルの高い介護が可能になるでしょう。それによって要介護者の機能の回復も期待できますし、スタッフのやりがいにもつながります。
そして介護スタッフに気持ちの余裕が生まれると、ロボットでは難しい精神面でのサポートが可能になるでしょう。「共感」して気持ちを和ませる会話は人間にしかできませんから。
「スマート介護士」による、この希望あふれる好循環に水を差すのが「ロボット導入費用が高額である」という事実。
ただこれも、介護ロボットが普及することによって改善が進み、需要が伸びてくれば価格も落ち着いてきます。

ですから「スマート介護士」の有資格者が今後増えていくことが、日本の介護・福祉の未来が明るい方向へ向かうスタート地点となりそうです。

 

介護のイメージ

今回は「スマート介護」とは、に始まり「スマート介護士」についてお話しました。「スマート介護」という言葉はまだ歴史が浅く、おそらくその概念はこれから構築されていくのでしょう。それには「スマート介護士」の活躍が大きな影響を与えることになりそうですよね。

そして『「スマート介護」で変わる介護・福祉の未来』では主に介護スタッフの視点でお話しましたが、経営者視点でみると、介護業界もビジネスなので「効率」や「生産性」は必須条件になります。それは一見、「時間と手間を美徳とする介護」と相反するように見えるかもしれません。

しかし「手間と時間」をかけた上質の介護をするには、優秀な人材が不可欠。それには「効率や生産性」を高めて「利益」を生み出し、人件費に還元して「安い、キツイ」介護職のイメージを翻す必要があります。また、「効率や生産性」を介護ロボットによって高めると「時間」を生み出すことができ、上質な介護につながりますよね。

ですから「スマート介護士」は現在の介護業界の危機を救ってくれるだけでなく、「質の高い介護」によって明るい未来を約束してくれる存在となるでしょう。

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