アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いがシステム開発にどう影響するのかは気になりますよね。
システム開発の現場においては元々ウォーターフォール開発が主流でした。しかし確実性を重視するウォーターフォール開発では、目覚ましいスピードで変化する開発環境には対応できません。
そこで2001年に誕生したのがアジャイル開発です。システム開発の代表的な手法となった二つですが、その違いを明確に理解し、どのような利点があるのかをはっきり説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回はアジャイル開発とウォーターフォール開発の概要や工程の違い、それぞれのメリット、活用時の注意点などについてお伝えします。
まずはアジャイル開発とはどんな手法か
それぞれの機能を独立させることで、仕様が変更されてもプロジェクト全体に影響を及ぼすことなく、迅速な対応が可能に。また完成が早まることですぐ納品できるようになるので、クライアントのニーズに応えやすくなります。
ウォーターフォール開発とはどんな手法か
もし抜け漏れがあったり仕様変更があったりすると、全体の計画から見直す必要が出てくるので、開発期間が長くなるおそれもあります。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の工程の違い
アジャイル開発とウォーターフォール開発の工程はどのように異なるのでしょうか。ここではそれぞれの開発工程について解説します。二つの開発工程を理解することで、どのような違いがあるのかを確認していきましょう。
アジャイル開発の工程
アジャイル開発は以下の3つの工程から成り立っています。
①ユーザーストーリーの作成
ユーザーストーリーがないと開発の方向性が定まらないため、素早い開発を特徴とするアジャイル開発では欠かせないものです。ストーリーを付箋紙などに書き出して「ユーザーストーリーマッピング」と呼ばれる表を作成し、関係者との共有を図ります。
②リリース計画の作成
リリース計画を作成するときに決めることは、プロジェクトのゴールやユーザーストーリーのどの要素を優先すべきか、などです。ただしアジャイル開発は流動的な開発手法なので、リリース計画も後から更新することを前提としています。
③イテレーション
ユーザーから追加の要望があれば、次回のイテレーションで対応する、という形式で進められます。
ウォーターフォール開発の工程
ウォーターフォール開発は以下の8つの工程から成り立っています。
①要件定義
クライアントから要望を聞き取り、緻密な計画を作成します。
②基本設計
クライアントのニーズに応えるためにはどのように開発を進めていけばいいのかを検討し、基本設計書を作成します。
③詳細設計
具体的な開発の進め方を記した詳細設計書を作成し、関係者と共有します。
④実装
ここから実際にプログラミングをおこない、開発を進めていきます。
⑤単体テスト
完成した機能が問題なく動くかをテストします。
⑥結合テスト
機能同士を組み合わせて問題なく動くかをテストします。
⑦システムテスト
全体のシステムを組み合わせて問題なく動くかをテストします。
⑧運用テスト
実際にシステムを運用する環境で問題なく動くかをテストします。
このように、アジャイル開発とウォーターフォール開発は工程数に差があります。アジャイル開発は少ない工程数で開発を繰り返す「反復型」、ウォーターフォール開発は工程数を増やして開発を進める「工程分割型」であることを覚えておきましょう。
アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリット比較
アジャイル開発とウォーターフォール開発の具体的なメリットはどのようなものでしょうか。ここからはそれぞれのメリットについて解説します。
アジャイル開発のメリット
アジャイル開発のメリットは以下の2つです。
修正にかかる工程が少ない
従来の開発方法では最初の計画に基づいて開発を進めるため、抜け漏れなどのトラブルが発生した場合には全体を見直さなくてはいけなくなり、修正作業に時間がかかってしまうという問題がありました。
クライアントのニーズに応えられる
開発が途中であったとしてもクライアントと相談し確認してもらうことで、仕様変更や追加にも問題なく迅速に対応可能です。
そのためクライアントから満足してもらえることが多く、ニーズにしっかりと応えられる点がメリットといえます。
ウォーターフォール開発のメリット
ウォーターフォール開発のメリットは以下の2つです。
進捗管理がしやすい
工数やタスクを事前に見積もれるため、計画どおりに進めやすく、進捗管理がスムーズにおこなえる点がメリットといえます。
開発に必要なリソースを確保しやすい
アジャイル開発とウォーターフォール開発どちらがいいの?開発手法の選び方
アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリットを生かすためには、それぞれの手法に適したプロジェクトを選ぶ必要があります。ここからは開発手法の選び方をケースごとに解説します。
アジャイル開発が適しているケース
アジャイル開発が適しているプロジェクトは以下のとおりです。
仕様の変更が予想されるプロジェクト
例えばソーシャルゲームなどに代表されるモバイル業界や、技術革新が著しい研究分野におけるプロジェクトに向いています。
納品速度を重視したいプロジェクト
クライアントによっては品質にこだわらず、とりあえず納品してもらいたいというケースもあるでしょう。
特にシステム開発の現場では環境の変化が早く、ビジネスにおける優先順にも変動しがちなので、クライアントのニーズに応えやすいアジャイル開発は最適といえるでしょう。
ウォーターフォール開発が適しているケース
ウォーターフォール開発が適しているプロジェクトは以下のとおりです。
品質が重視されるプロジェクト
例えば銀行や証券取引所、携帯電話の通信システムなど、障害の発生が許されないケースなどが挙げられます。
ウォーターフォール開発では、運用に耐えられるかどうかを何回もテストすることで、品質が保証されます。そのため「障害の発生を限りなく0に近づけたい」というクライアントの要望に応えやすくなるのです。
規模が大きいプロジェクト
ウォーターフォール開発は、規模が大きいプロジェクトでよく活用されています。
例としては挙げられるのは、機械の製造や宇宙産業、ソフトウェアやオペレーションシステムの開発などです。
また事前に計画を立てることで各工程ごとに必要な人員を見積もれるので、タイミングに応じて大量に人的リソースを投下し、一気に開発を進めることが可能です。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の注意点
アジャイル開発とウォーターフォール開発を活用するときには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここからはそれぞれの注意点を解説します。
アジャイル開発の注意点
アジャイル開発を用いるときの注意点は以下のとおりです。
スキルバランスのとれたチーム編成が必要
メンバーは5~10人ほど必要で、誰かが苦手とする部分を誰かが補っていく形が理想とされています。
開発のゴールを定める
アジャイル開発は仕様の変更を想定して進められる手法のため、厳密な計画は必要ありません。とはいえあまりにも見通しの甘い計画では必要のない作業が増え、コストがかさんでしまうでしょう。
ウォーターフォール開発の注意点
ウォーターフォール開発には工程ごとに必要な人員を事前に見積もれるというメリットがあります。
しかし大規模なプロジェクトになると数百人の人員が必要になることもあり、下請け会社に委託することで多重請負構造を招いてしまう可能性があります。
多重請負構造はプロジェクトの管理がしにくく、進捗が確認しづらくなってしまうため、必要な人員が判明した時点で対処する必要があるでしょう。
今回はアジャイル開発とウォーターフォール開発の概要や工程の違い、それぞれのメリット、活用時の注意点などについてお伝えしました。
開発手法の違いを理解せず、なんとなくでプロジェクトに用いてしまっては、システム開発に支障が出てしまうかもしれません。
二つの開発手法の特徴を理解したうえで、それぞれの強みを最大限に発揮できるように活用してみてください。
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