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物流業界には不可欠なAGV(無人搬送車)、その詳細を3分で解説

物流業界には不可欠なAGV(無人搬送車)、その詳細を3分で解説

物流の現場では、荷物を出し入れしたり整理したりする場面がありますよね。でも、倉庫で出し入れする場合は、かなり多量の荷物になるので私たち人間が運ぼうとすると肉体的に負担がかかります。

そんな荷物を運ぶのに大活躍しているのが、AGV(無人搬送車)。今、多くの工場や倉庫で無人搬送車が使われています。このAGVは、物流の現場の人手不足に対して大きく役立っています。

この記事では、AGV(無人搬送車)とはどんなものか、の基本的な情報からや実際に使われている事例を上げながら、幅広く見ていきます。特に在庫を多く抱える倉庫や工場の現場で導入を考える際には、きっと参考になるに違いありません。

それでは今回は、物流現場で今や必須の存在になりつつあるAGV(無人搬送車)について、詳しく解説します。

AGV(無人搬送車)とは

自動で運ぶ車のイメージ

AGV(無人搬送車)とは、自動で荷物を運ぶ車またはロボットのことです。もともとは1980年ごろから、工場内の部品や材料を運ぶために使用され、主に機械が床に貼られた磁気テープをたどった道のみを移動していました。

しかし最近のAGVは、センサーによって障害物を検知してストップすることもあったり、道を指定しなくても自動で道を見つけたりできるようになっています。これによって、工場だけでなく病院や食堂など幅広い活用をするようになりました。

特に、Amazonの倉庫では全体的にAGV(無人搬送車)の導入を行っています。最近のAGV(無人搬送車)は段ボールの荷物だけでなくて「棚」そのものも運ぶのだとか。

倉庫の中を縦横無尽 アマゾンの動く棚ロボ
まえだまえだ
まえだまえだ

これなら探す手間もぐっと減りますよね。Amazonの素早い対応には、こんな自動化があったのか・・・。

そんなAGV(無人搬送車)には、大きく4種類あります。

  • 簡易型(キット)
  • 台車型
  • 牽引型
  • フォークリフト型

簡易型AGVとは、基本的な機能が備わった無人搬送車のことです。この基本的機能とは、荷物を自動で運ぶ上で高速なのか、ゆっくり運ぶのか速度を分けられたり、小回りがきいたりするようになっています。AGV(無人搬送車)を導入するにはコストがかかるものの、これならコストを抑えて導入ができるでしょう。

台車型AGVはもっとも一般的な無人搬送車で、荷物・棚をAGVの上に乗せて運ぶタイプです。これに対して牽引型AGVは、荷物をトレーラーに乗せて引っ張る形で荷物を運びます

フォークリフト型とは、荷物を爪の力で持ち上げるタイプです。工場で働いている場合、ものを運ぶ時にフォークリフトを使うことがありますよね。フォークリフト型AGVはフォークリフトの無人版で、かつ少し小型になった運搬車だとイメージすれば良いでしょう。

今、AGV(無人搬送車)の市場が成長している理由

在庫のイメージ

世界のAGV(無人搬送車)のシェアは、52.1億(2019年現在)ですが、2027年までにはこの倍以上のシェアになると見込まれています。それほどまでに、今AGV(無人搬送車)の人気である理由について解説しましょう。

在庫業務の効率化を行う必要があるため

そもそも倉庫や在庫に関わる業務は、膨大な業務があります。例えば在庫の管理をはじめとした入庫・出庫、商品・荷物を整理したり、検品したり、仕分けしたり・・・など小さい業務がたくさん。そうなると、忙しくなりがちですよね。

それなら、業務一つ一つを効率よく、短時間でこなす必要があります。AGV(無人搬送車)なら、人の手を使わずに商品・荷物を別のところに運べます。この運んでいる間は、私たちしかできないような業務をしたり、また夜間など人が少ない時間帯でも動かしたりすることができます。その結果として、在庫業務全体の時間短縮につながるでしょう。

工場内のスペースを有効活用するため

工場や倉庫はそれなりのスペースを必要としますよね。しかし、そのスペースいっぱいいっぱいにものを置くことが多いです。そうなると人が通りづらかったり、物と物の距離があって運ぶのが大変になることも。

AGV(無人搬送車)を使えば、距離がある場合でも楽に運べます。また急いで運ぶ場合も、危ないものだからゆっくり運ぶ場合も、どちらでも対応ができます。このため人が運ぶよりも安全に荷物を運べるでしょう。

また、AGV(無人搬送車)なら指定したルートを通ります。例えば人が運ぶ場合に「そこを通ったら危ない」などは、事前に知らせないとわかりません。その結果、運んでいる間に転倒事故が起こる可能性があります。

これに対してAGVではルートを事前に指定するので、危ないと感じたルートを避けられます。さらに、狭い工場内でも無人搬送車ならスイスイと通れるかもしれません。私たち人間が運ぶよりも、より短いルートで効率よく進めるでしょう。

人の負担・ミスを減らすため

重い荷物を運ぶとなると、肩や腰に負担がかかりますよね。なかにはこのような肉体疲労が溜まって体を壊して退職する人もいます。また、このような肉体作業は避けたい、と考える人も多いことが、結果的に物流現場の人手不足にもつながっているかもしれません。

そして、重い荷物を運ぶ場合にはフォークリフトを使う場合もありますよね。しかしフォークリフトも人が運転するので、ヒューマンエラーが起きる可能性があります。そうなると、大事故につながる可能性も。

AGVなら、人の手はほとんどかからないので体の負担も楽になります。また、無人搬送車は自動で運転するので、運転ルートを間違えたりうっかり操作などのミスは起こりません。このため、人が運ぶよりも安全に運べるでしょう。

代表的なAGV(無人搬送車)・無人搬送ロボットまとめ【メーカー別】

運ぶイメージ

とはいえ、実際のAGV(無人搬送車)はどんな形なのか、どんな機能があるのかなど気になりますよね。それでは、代表的なAGV(無人搬送車)を取り上げましょう。

日立・小型無人搬送ロボット「Racrew」

荷物を運搬するなら、まとめて行いたいですよね。そんな中、日立の小型無人搬送ロボット「Racrew」では、棚ごと運搬をおこないます。Racrewが運ぶ棚はハンガーラックや荷台、2面・4面のラックなどさまざまな種類が使えます。これなら、運びたいものに適した棚を選べるだけでなく、搬送の手間もグッと減るでしょう。

さらに、Racrewではピッキング作業のサポートもおこないます。これはピッキングをこなう際に、デジタルピッキングのシステムによってランプが点灯するので指定された数を取り出して棚に移します。これなら、ピッキングでどこにしまえば良いのかわかりやすく、新人の方でも対応ができますよね。

四恩システムのAGV

四恩システムのAGV(無人搬送車)では、磁気テープでの誘導(牽引ノーバンクAGV)か床にQRコードを貼り付けて誘導するか(スポットAGV)、どちらかを選べます。例えば磁気テープを貼るのが面倒である、凸凹指定てQRコードが貼り付けられないなど、どちらのニーズにも対応できるでしょう。

また、四恩システムのAGV(無人搬送車)アプリで経路作成もできます。そのため、実際にAGVが動いているかどうかの確認をしつつ、無人搬送車も無線リモートでコントロールできます。(最大50台)これなら、複数台を同時に動かしても管理が楽になるに違いありません。

ヘッズのAGV

ヘッズのAGV(無人搬送車)は牽引型・低床型だけでなく、積み下ろしまで無人でできる積載コンベア型もあります。さらに屋内用だけでなく、屋外型、屋外カート型など屋外用のAGVもあります。それぞれのタイプによって積載量・運ぶものによって型が変わるので、倉庫から運びたいものに合わせて選べるでしょう。

ちなみに、屋外カート型のAGV(無人搬送車)はもともと有人のカートを改造できるのだとか。今人が運転する型のカートを持っている場合なら、新しくAGVを買わなくて済むので、安く導入できるかもしれません。

AGV(無人搬送車)を導入して成功した事例

工場のイメージ

そんなAGV(無人搬送車)は、現在さまざまな現場で活用されています。次から、その活用されている事例について取り上げましょう。

AGV(無人搬送車)で、余ったリソースを他に回せた「トラスコ中山」

倉庫が広いと商品をたくさん置けますが、移動や荷物を運ぶことが大変ですよね。株式会社トラスコ中山は、埼玉県に大きな物流センターを持っています。そして、まさに入出庫や商品の出荷の効率化が求められるようになりました。

そこで、2018年にシャープ製のAGVを導入。主に商品の入出庫や廃材の搬送に活用しつつ、中央で制御できるシステムも合わせてコントロール体制を作りました。その結果として、スタッフは人にしかできない仕事に集中できるようになりました。

さらに今後は、AGVが実際にどのルートを走ったのかの記録を元に待機時間や使用率を分析します。これによって無人搬送車の台数やルートの見直し、人の配置などの検討につなげるとのこと。効率の良い使い方をすれば、よりAGV(無人搬送車)が活躍できるに違いありません。

工場の無人化に一役買う「トーシ・プリンティングサービス」

段ボールなどの荷物だけでなくて、重いものの一つに「紙」があります。もちろんこれがA4用紙1枚、2枚なら軽いですが、何百枚もの紙、あるいはそれがまとまったようなロール紙だと、その重さは800kgになることもあるのだとか。となると、運ぶのも大変ですよね。

京都に工場がある印刷会社トーシ・プリンティングサービス株式会社も、もちろんそんな課題を抱えていました。この工場では主に朝日新聞の印刷をおこなっていて、朝刊42万部、夕刊24万部を印刷しています。そうなると、いかにスピードを持って印刷するかだけでなく、効率よく運べるなども重要になります。そのような背景もあり、工場の無人化を進めていました。

そこで、IHI製のAGV(無人搬送車)を使って印刷に使うロール紙を運搬するようになりました。これによってより効率的に運搬ができるようになり、人の手が減りました。さらにAGV(無人搬送車)だけでなくクレーン等も活用し、ロール紙の保管・紙の補給・紙管回収なども無人でできるようになりました。これなら、今までよりも効率的に動けますよね。

AGV(無人搬送車)の今後

無人のイメージ

AGV(無人搬送車)は、今後もどんどん使用されるでしょう。特に物流では人手を減らす動きがある以上、このような無人搬送車、ないし無人搬送ロボットが活躍する場が増える可能性があります。

それと同時に、倉庫そのものの自動化がどんどん進んでいます。その一例として衣料を販売しているユニクロも、全自動倉庫の導入を進めています。これはどんな倉庫なのかというと、検品作業、入出庫、仕分け、商品コンテナの片付け、商品の箱入れなどを全て自動化して、人の手が必要な部分を最小限に減らす仕組みになっています。実際にこの仕組みを導入しているEC向けの倉庫である「UNIQLO CITY TOKYO」では、出荷までの時間を従来の8~16時間から1時間に減らせました。

このように、自動化が進むと出荷までのスピードがグッと上がります。こうして人手をどんどん減らす以上、AGV(無人搬送車)の活躍の場が広がる可能性があるに違いありません。

まとめ
さて、今回は物流現場で今や必須の存在になりつつある「AGV(無人搬送車)」について、詳しく解説しました。それでは、今回の内容について振り返りましょう。

  • AGV(無人搬送車)とは、自動で荷物を運ぶ車・ロボットのこと
  • 今、AGV(無人搬送車)の市場が成長している理由として、在庫業務の効率化を行う必要があるため、工場内のスペースを有効活用するため、人の負担・ミスを減らすためがある
  • 代表的なAGV(無人搬送車)メーカーとして、日立(Racrew)、四恩システム、ヘッズがある
  • トラスコ中山とトーシ・プリンティングサービスは、AGV(無人搬送車)で効率化に成功した
  • AGV(無人搬送車)は今後、活躍の幅が広がるだろう

このように、AGV(無人搬送車)は、物流の現場における人手不足を解消する可能性があります。まさに「現場の救世主」と言えるかもしれません。現場の効率化を考えているのなら、まず導入を検討しましょう。

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