AI(人工知能)とファイナンス

早くやったもん勝ち!?AIファンドのメリットとデメリットを学ぼう

AIファンドのイメージ

最近の一般向けの株式投資ではロボアドバイザーといってAI(人工知能)に投資先の選択を任せるツールが出てきました。その他にも富裕層向けのファンドでもAI(人工知能)を扱うところが増えてきましたよね。そしてそれらの会社のホームページでは投資家はただお金を出すだけであとはロボットが適切な運用を行ってくれますと宣伝しています。

ただ、株や債券に投資する以上、ある程度まとまった金額を支出することになり、そのためなるべくなら適切な投資先を選択して損失を少なくし、利益を出したいでしょう。

その際に重要なのが事前の情報収集。

そこで今回は、AI(人工知能)活用型ファンド(以下「AIファンド」と呼称する)がいったいなんなのか、そしてAIファンドを利用するメリットとデメリットをお話します。

AIファンドとは

AI(人工知能)のイメージ

まずは、AIファンドについてお話しましょう。

例えば、アセットマネジメントOneの「AI(人工知能)活用型世界株ファンド」と呼ばれるファンドの特徴は主として、日本を除く世界の株式に実質的に投資を行っているところ。
これは、アセットマネジメントOneが独自に開発したディープラーニングモデルを用いて、相対的に投資魅力度が高いと判断される銘柄を抽出し、そしてモデルの解析結果に、ファンドマネジャーの判断によりニュースフロー等のテキスト解析や個別企業のファンダメンタルズ分析を融合させ、顧客のポートフォリオを構築しています。

要するに、無数にある世界の株式の銘柄の中から、AI(人工知能)のモデルを用いて魅力的な銘柄を検出し、その結果を基に人手でキュレーションを行って顧客のポートフォリオを作成しているということです。

AIファンドが出現する前のファンドのファンドマネジャーは、人間の経験と勘に頼って資産運用をしていました。

ところが統計などの数字の解析や、最新テクノロジーを駆使したクオンツファンドと呼ばれるファンドが出現するようになると、それらのファンドの成績が突出するようになります。

クオンツファンドの先駆的かつ代表的なファンドであるルネッサンス・テクノロジーズは天才的な数学者にしてパターン認識と暗号解読者の専門家であるジェームズ・シモンズ氏が創業したファンドで、このファンドのパフォーマンスとして、過去20年間の年率換算の平均リターンは35%超え。

この数字がどれだけすごいかは有名な投資家であるウォーレンパフェットの平均リターンが約22%だということからも分かりますよね。

また、資産運用面での同じようなシステムにロボアドバイザーというものがあります。これは銘柄選定からポートフォリオの構築までファンドマネージャーが絡まず、全てオートであることが特徴です。

自分で銘柄の選定を行いたいと思う人には、ロボアドバイザーがその名の通り投資のアドバイスだけしてくれるファンドもあるのでそちらを選びましょう。

AIファンドのメリット

投資するイメージ

それではAIファンドのメリットをお伝えしましょう。

まず、AI(人工知能)に限らず自動取引が可能だと超高速取引を行うことができます。

株式投資やFXなどのチャートを利用する取引では、数週間から2か月ぐらいまでの中長期の取引もあれば、数秒から数時間で取引する短期取引、さらにもはや人間が認識できない速度で取引する超高速取引といった種類に分けられ、そして、超高速取引ならではの手法を使って人間では到底できない方法で利益をあげることが可能です。
例えば、アメリカには証券取引所が10箇所ありますが、ある客が大口の注文を出すと、いくつかの取引所に分割して注文が発注されます。その時、各取引所へ依頼が到着する時間にはタイムラグが生じるのですが、その差を利用して利益を生み出すのです。この「裁定取引」と呼ばれる方法だとほぼノーリスクで確実に利益を得ることができ、しかも注文はインターネットを介して光の速度で行われるので人間では到底この手法を使うことはできません。

また、AIファンドを利用するその他のメリットとして、人間のファンドマネージャーよりも好成績を残せるプログラムが増えてきていることが挙げられます。

ここ数年でAI(人工知能)はどんどん優秀になっており、その余波は金融業界にも及んでいますよね。

感情や思い違いに囚われる人間に比べて、AI(人工知能)は与えられた指示通りに淡々と作業をこなすことが可能です。また、過去数百年の株価や経済動向を人間が全て把握するのは不可能ですが、コンピュータであるAI(人工知能)には適切なデータさえ用意すればそれを判断材料に使うことができます。

ですから、前述のロボアドバイザーは以前は手数料の安さから庶民の利用者が大半でしたが、最近では以前は人間のファンドマネージャーがいるファンドを利用していた富裕層も利用するようになってきました。これはロボアドバイザーの成績が良くなっていることが理由と言われています。

AIファンドのデメリット

投資のイメージ

しかし、もちろんデメリットもあります。

特に最近流行りの機械学習に含まれるディープラーニングを使っているファンドでは、AI(人工知能)が適切な投資先を選定してくれるわけですが、その結果が出された理由を人間は知ることができません。

要は途中の計算過程がブラックボックスになっているので、うまくいかなかったときに原因の調査を行うことが困難です。
ですから、近年ではブラックボックスの中身が分かるようにアルゴリズムを構築しようとする動きもあります。

また、AIファンドに限らず株式投資には様々なリスクがあり、それは例えば、株価変動リスク、海外株なら為替変動リスク、流動性リスクなど。それらを解消するためには事前にそのファンドが投資している株式がどういうものなのか自分の目でよく確かめることが重要です。

そして、株式市場全体のリスクとして、超高速取引をするAI(人工知能)が株価の暴落を引き起こす可能性があります。

実際、2010年にアメリカの株式市場で「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる現象が起き、このフラッシュ・クラッシュはわずか30分の間に株式相場が10%近い下落と回復を起こした現象です。

なぜフラッシュ・クラッシュが起きたのか詳細な原因は不明ですが、アルゴリズム取引に原因があると言われています。

人間の取引の場合にはいろんな考えの人がいるので、たとえ株価が下落を始めても売る人もいれば買う人もいますよね。ところが、優秀な取引成績をあげるために投資家の大半が同じアルゴリズムを使っているAI(人工知能)を使い始めたらどうでしょうか。人間のように多様性がないので、一気に株価が下落したり上昇したりといったことが起こるでしょう。

 

投資のイメージ

ここまでAIファンドとは何か、そしてAIファンドのメリット、デメリットを説明してきました。

人の手で投資をする上では、どうしても物理的な制約がかかります。そのコンマ数秒の世界をコンピュータに任せることで一般人向けの短期取引や超高速取引ではこれからますますパフォーマンスが上がっていくでしょう。

ただ、将棋の世界チャンピオンにAI(人工知能)が勝利しても棋士という仕事そのものはなくならないように、投資もコンピュータを活用しながらもジョージソロスのような一部のカリスマ投資家はこれからも残ります。

今AI(人工知能)に職業が奪われるとよく言われていますが、そうではなくAI(人工知能)をどう活用するかを考える方が重要で、あらゆる仕事にAI(人工知能)やロボット化が進んでくる中、私たちはAI(人工知能)やロボットについて勉強していくことは必要になるでしょう。

その知識はAIファンドでも活かして、最適な投資ができると良いですよね。

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