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導入前に知りたい!AI学習モデルサービスを利用するメリットとは

導入前に知りたい!AI学習モデルサービスを利用するメリットとは

今、AI(人工知能)を取り入れたサービスが注目されています。ビジネスだけでなく生活のあらゆる場面で、AI(人工知能)が身近な存在になってきた!と、感じている方も多いですよね。

例えばアレクサやSiriのようなスマートスピーカーとも会話を楽しめるようになり、より進化したAI(人工知能)を搭載した便利な機能が登場しています。その中で、「AI学習モデル」を使ったサービスが次々にリリースされました。

AI学習モデルは、「学習済みモデル」「オリジナル(独自)AIモデル」とも呼ばれます。あらかじめ用意したデータを元に機械学習で賢くさせ、予測や判断が可能になったAI(人工知能)のことです。人の代わりに大量のデータを処理して複雑な計算をこなし、推論・予測をしてくれるので、とても便利なツールなんです。

そこで今回は、「今の業務システムに、AI(人工知能)を搭載したいと考えているけど、どうしたらいいの?」とか、「AI学習モデルを導入するメリットって何?」という方のために、AI学習モデルサービスについて、詳しくご紹介していきます。

AI学習モデルの代表的なサービスは、画像認識や未来予測に使われている!

画像認識

高度な技術に進歩したAI(人工知能)は、いろいろな分野で活用が進んでいます。大きく分けて、画像認識やセンサー解析などの「認識・分析」をする分野と、自動制御などの「処理・対処」の分野があります。それでは、AI学習モデルを利用したサービスには、どんな事例があるのか見ていきましょう。

画像認識のレベルが上がり、人の顔を認識

画像が人間か動物かを見分ける程度だった画像認識能力が、格段に賢くなり、人間の顔を見分けることができるレベルになりました。顔認証や監視などのセキュリティ業務に利用すれば、コスト削減やサービスの質を高めることが期待できるでしょう。

また、医療診断にもAI(人工知能)の画像認識が用いられています。レントゲン写真や皮膚の写真からガンを検知したり、毛細血管の拡大画像から患部を判別することも可能です。標準的な医師の目視による判断より精度が高くなる検査もあり、病気の早期発見につながるケースも出てきました。

コールセンターなどで活躍!実用化が進む音声認識技術

音声認識技術の向上で、AI(人工知能)が実際に聞き取った音声を認識できるようになりました。音声をテキスト化する能力は、人間と同等かそれ以上に達しています。たとえば、銀行のコールセンターに導入された音声認識システムでは、オペレータが顧客と話している間に、AI(人工知能)が問い合わせ内容に関する情報を収集することもあります。

プラントや工場での実用例が多いAI学習モデルの自動制御

自動制御の分野では、作業の自動化をAI(人工知能)に任せることで、コストカットや効率化につなげるシステムが登場しています。機械の故障・異常を検知したり、検査・検品を自動で判断したりするのも、AI(人工知能)の得意分野です。

マーケティングや金融の分野で、未来予測がますます進化

AI(人工知能)が得意とする能力のひとつに、大量のデータを収集・分析して処理することが挙げられます。人の購買行動を予測して適切にマーケティングを進めるために、AI(人工知能)学習モデルのシステムが活躍しているんです。

これによって、需要を予測したり、顧客の購買行動を先回りして推定することで、商品の過剰供給を避けられるようになりました。また、商品の適正価格を計算したり、出店する地域の分析や、セール時期・価格などのキャンペーンも最適化することができるでしょう。

金融業界では、いわゆる「フィンテック」の普及が進み、すでに資産運用のロボアドバイザーなどが、一般の顧客層にも幅広く利用され始めています。

ビッグデータで学習させることで、AI学習モデルサービスを構築

機械学習のイメージ

AI学習モデルサービスを構築するには、ビッグデータでAI(人工知能)を学習させていく必要があります。このようにAI(人工知能)が自分で学べる技術のことを「機械学習」と呼んでおり、広く知られる「データマイニング」や「ディープラーニング」といった技術も、機械学習の一種です。

さてここで、どのようにAI(人工知能)を機械学習させていくのか、ペットの例で見ていきましょう。

例えばペットの飼育には餌を与えますが、AI(人工知能)にはデータを与えます。統計学をベースに膨大なデータを解析することで、AI(人工知能)は学習して賢くなっていきます。

機械学習のためのデータは、人間にとっての経験値のようなものです。ただし、AI(人工知能)は人間に比べて、効率よく学習することができないため、たくさん経験を積ませるには、統計データ(=ビッグデータ)が必要です。

AI学習の方法には、「教師あり学習」と「教師なし学習」の2タイプがあります。ちなみに、AI学習の「教師あり学習」では、問題と解答をセットでAI(人工知能)に学習させます。学習に必要なサンプルデータは「教師データ」とも呼ばれます。一方の「教師なし学習」は、答えのデータを与えず、AI(人工知能)に自ら学習させる方法です。

現在は、両方の学習タイプを組み合わせて、AI(人工知能)を教育する方法が主流となっており、このサンプルデータの収集と加工は、AI(人工知能)エンジニアが担当しています。音声認識を可能にするには、サンプルの音声データが必要ですし、画像認識なら画像データを提出しなくてはなりません。サンプルデータは、学習に使うために加工してから使用する場合もあります。

AI学習モデルサービス導入までの5つのステップ

サービス導入のイメージ

一般的なAI学習モデルサービスの構築プロジェクトは、次のような工程で進められます。

要件ヒアリング

構築するサービスの目的を設定し、必要なデータをヒアリングします。できるだけ具体的な数値を挙げ、要件を洗い出します。

サンプルデータの収集

既存のデータから、役立ちそうなものを中心に必要なデータを集めます。収集データの量や期間が適当かどうかもチェックします。

AI(人工知能)学習用データの加工(データセットの作成)

AI(人工知能)が学習を始める前に、データを適切に加工する作業です。機械学習では、先にエラー値の前処理をしておくと、精度が上がりやすくなります。予測結果も安定します。

実際のAI学習(AIエンジニアが担当)

アルゴリズムを決めてデータを入力し、AI(人工知能)に学習させて、エンジニアが結果を評価します。AI(人工知能)が学習データに合わせすぎると、実際の運用で精度が落ちることがあるので、過学習に注意します。

AI学習モデル完成

この後、必要があれば、AI学習モデルを応用したシステムやサービスの開発工程に進みます。

AI学習モデルサービスを利用する最大のメリット

効率化のイメージ

ここからは、AI学習モデルサービスを利用してシステムを構築すると、どんな効果が見込まれるかをご紹介していきます。業務システムにAI(人工知能)を使いたい!という場合、最終的な目的は何なのかを明確に設定することが肝心です。あらかじめ、AI(人工知能)の得意分野をしっかり把握しておくことで、その後の開発のムダや矛盾を避けることもできるでしょう

まずはAI学習モデルサービスの得意分野を把握しよう

実は、人間と同じで、AI(人工知能)にも得意な分野と不得意な分野があります。AI学習モデルサービスの構築に向いているケースの特徴は、次の通りです。

  • 学習データが多く、例外が少ない
  • 長期間で一定のルールに基づく学習データが揃っている
  • 学習モデルを利用するユーザー数が多い
  • 改善により高い効果が見込まれる
  • ミスがあっても許される状況である

AI学習モデルの利用が効果的なのは、「何度か失敗しても、トータルで考えれば効率よく処理が進む」という場面です。逆に、たとえば医療診断など、見落としが致命的なミスにつながるケースでは、すべての判断をAI(人工知能)の自動化に任せるのは危険なこともあります。

このように、安易にAI学習モデルを構築しようとしても、うまくいかないケースも出てくるため、そのサービスが、本当にAI学習モデルに適したタイプかどうか、導入前によく検討することも大切です。

AI学習モデルサービスで効率よく売上・業績アップを

それでは、AI学習モデルサービスを利用した業務システムで、もっともメリットとなる点について見ていきましょう。一般的には、次の4点で効果を発揮することが期待され、業務改善のためにAI学習モデルサービスが導入されることが多いんです。

売上の向上

まずは、売上の向上など、直接的な業績アップにつながる効果が見込まれます。顧客ごとに購買履歴からオススメの商品を表示したり、AI(人工知能)のマッチング機能によって的確な広告を表示したり、購買意欲を刺激することで顧客単価のアップをめざすこともできます。

品質の向上

商品の品質を上げるための効果はもちろん、さらに顧客向けのコールセンターや問い合わせ用のチャットサービスを自動化することで、顧客満足度を高めることもサービスの品質向上に結びつきますね。

コストの削減

コストやリスクの軽減といった効率的な面でも、AI学習モデルは力を発揮します。コストダウンに応用できるシステムの例では、在庫管理や発注のAI(人工知能)による自動化などが挙げられるでしょう。スタッフの手動での作業時間を大幅に減らすことができ、人件費の削減が期待できます。

リスクの軽減

たとえば、事故や不具合を素早く検知して、トラブルを回避することが可能になります。プラントや工場などの生産分野だけでなく、アミューズメントパークやイベント会場など、多くの人が集まって混雑する空間でも、AI(人工知能)が得意の未来予測やトラブル検知機能を発揮することで、トラブルによる悪影響を予防してくれるでしょう。

まとめ
さて、今回はAI学習モデルサービスの概要と導入のメリットについて、ご紹介してきました。ここで今回の内容をざっと振り返ってみましょう。

  • AI学習モデルサービスは、画像認識・音声認識・自動制御・未来予測などで実用化が進んでいる
  • AI学習モデル構築のためには、ビッグデータ(=サンプルデータor教師データ)と機械学習が必要
  • AIエンジニアが、必要データの収集・加工と、AI学習を担当する
  • AI学習モデルサービス導入の最大のメリットは「業績アップにつながる効果」が期待できること

AI(人工知能)はまだまだ開発途上で、人間の熟練のスキルには及ばないこともありますが、AI学習モデルサービスを活用することで、すばらしい成果を発揮することが十分に期待できるといえるでしょう。AI(人工知能)の強みを生かした最高のシステムを構築できるよう、導入前からAI学習モデルのメリットを、ぜひ詳しく検討してみましょう!

参照元
Mobile AI Lab 無料で学習済みAIモデルを作成
AIモデル構築サービスSNN(SCSK Neural Network toolkit)
本橋洋介(2018)『人工知能システムのプロジェクトがわかる本』(翔泳社)
三津村直貴(2017)『図解これだけは知っておきたいAI(人工知能)ビジネス入門』(成美堂出版)

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