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AI(人工知能)での「クラスタ」とは?意味や関連用語まで徹底解説

AI(人工知能)での「クラスタ」とは?意味や関連用語まで徹底解説のイメージ

AI(人工知能)の機械学習を議論するうえで欠くことのできない用語のひとつに「クラスタ」というものがあります。言葉の意味は分からずとも一度は耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

この「クラスタ」という言葉、決して機械学習の専門用語ではありません。さまざまな意味を持つ言葉であり、それぞれの分野で「クラスタ」とは別の意味で用いられています。

では、AI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」とはいったいどのような概念を持つ言葉なのでしょうか。

今回は、「AI(人工知能)における「クラスタ」とは何か?」についてAI(人工知能)初心者の方にもわかりやすく、その意味や関連用語までを徹底的に解説していきましょう。

クラスタって何て意味?

「クラスタ」とは本来、英語で「房」「集団」「群れ」といったものを意味する言葉です。インターネット上でもこの「クラスタ」という言葉を目にしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば「アニメクラスタ」だとか「アイドルクラスタ」などのように使われていたりします。ここでは、同じ対象を好む「ファン」や「仲間」といった意味で「クラスタ」という言葉が用いられているようです。
また、コンピュータの世界で「クラスタ」というと、いくつかのまた違った意味合いを持ちます。そのひとつが”複数のコンピュータを連携させて一つのシステムに統合すること”。
一方で、コンピュータ内のディスク装置の記憶領域の単位という意味もあります。コンピュータ用語で「クラスタ」という言葉が出てきたら、前後の文脈からその意味を判断する必要がありそうです。

このように、さまざまな意味で使われる「クラスタ」ですが、ここからはいよいよAI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」とは何を意味するのかについて解説していくことにしましょう。

AI(人工知能)で使われる「クラスタ」とは

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AI(人工知能)の機械学習で用いられる「クラスタ」も基本的には「集団」や「群れ」といった意味であることには変わりはありません。

AI(人工知能)が機械学習を行うためには、大量の学習データが必要となりますよね。これらのデータには、さまざまな属性やカテゴリをもつものが含まれています。

例えば、小学生の得意科目、苦手科目の傾向を学習させるとしましょう。何万人、何十万人という小学生の中には「国語が得意な子」「算数が苦手な子」「音楽と体育が得意な子」などありとあらゆる属性を持った子供たちがいるはずです。これらをデータの集合と見たときに、同じ属性、例えば「国語が得意な子」のデータの集まりを「クラスタ」と呼びます。
このようにAI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」の意味とは、AI(人工知能)が学習するデータにおいて、データ同士の類似度や距離によって似通ったものをひとまとめにしたグループととらえることができます。

これでAI(人工知能)で使われる「クラスタ」の意味、少しわかったような気になってきたのではないでしょうか。それではここからはこの「クラスタ」に関連する用語についても解説していくことにしましょう。

それではクラスタリングとは何か

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「クラスタリング」は、前述のクラスタをデータの中から抽出していく作業のこと。つまり、大量のデータの中から、類似度や距離によって似通った性質の集団を見出すことといえるでしょう。

簡単に言うと、似た者同士の集団を作り出すということですよね。

例えば、ゾウやキリン、ヘビ、カエル、カメといった「生物」のデータがあったとします。それらのデータを「尻尾があるか」という特徴量でクラスタリングした場合、ゾウやキリンのような「長い尻尾を持つ集団」、カメのような「尻尾はあるが短い集団」、ヘビやカエルのように「尻尾がない集団」といったような結果になるでしょう。

またクラスタリングにはさまざまな手法があり、大きく分けると凝集型や分割型などがある階層的手法とk-means法に代表されるような非階層的手法とに分類されます。

凝集型階層的クラスタリング

データひとつひとつが、各々クラスタを形成している状態から、順次クラスタを結合していき、クラスタの階層を生成する方法。

分割型階層的クラスタリング

データの集合全体が一つのクラスタを形成している状態から、順次クラスタを分割していき、クラスタの階層を生成する方法。

非階層クラスタリング(k-means法)

あらかじめ任意の個数のクラスタに分割することを決めておき、決めた数の塊にサンプルを分割する方法。

非階層クラスタリングは、階層的クラスタリングと異なり、サンプル数の多いビッグデータを分析するときに適している手法といえますが、あらかじめいくつのクラスタに分割するかは分析する人に委ねられており、最適なクラスタ数を自動的に算出する方法が確立されていないという特徴があります。

クラスタリングについてはこちらの記事も参考にしてください。

ゼロからわかる教師なし学習。やさしく学ぶクラスタリングの基本
「教師なし学習」「クラスタリング」といった単語はよく見聞きするので非常に重要な手法であることはわかりますが、これらをどういう目的でどう活用していけば良いのかをうやむやにしている人は意外と多いかもしれません。実際僕もそのうちの一人です。そこで今回は教師なし学習とクラスタリングの基本を順番に調べて整理していきます。

クラスタリングとクラスター分析は違うのか

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クラスタ分析とは、これまでにお話ししたようなクラスタリングの概念をもとにビッグデータの分析などを行う手法のことです。ですから、クラスタリングとクラスター分析は極めて似通った概念を意味する言葉としてとらえることができるでしょう。

クラスター分析が用いられる分野として代表的なものが、One to Oneマーケティングにおける分析。この分野ではクラスター分析は非常に重要な位置づけとなっており、最もよく用いられる手法のひとつであるといわれています。顧客を細かくクラスタリングすることによって購買を予測し、的確なアクションをとることが求められているのです。

情報過多の現代において、いかに顧客にとって有益な情報を提示することができるか、いかにコンバージョンを上げることができるか、そのための秘策という意味でも、クラスター分析が今注目されています。

クラスタリングと教師なし学習の関係

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さて、ここで話をもう一度AI(人工知能)の機械学習に戻していくことにしましょう。機械学習の手法のひとつに「教師なし学習」というものがあります。

「教師あり学習」は、正解となるデータがあらかじめ与えられ、AI(人工知能)はそれをもとに学習。例えば、あらかじめ猫の写真を見せておき、猫の特徴などを学習します。そして学習した特徴をもとに、入力されたものが猫かどうかを判断するというものです。
一方で「教師なし学習」は正解となるデータを学習しません。主にデータそのものが持つ特徴点を分析し、グルーピングやデータの簡略化を行っていく過程で、AI(人工知能)自身が、「こういう特徴を持つものは猫。だからこの画像は猫」という風に学習していくのです。
そして、この「教師なし学習」の代表的な手法こそが、前述の「クラスタリング」に他ならないのです。

あらかじめどのように分類するかを規定するのではなく、データの特徴や類似度からクラスタを形成していくのが「クラスタリング」でしたよね。そしてこれは、データが持つ特徴点を分析・学習していくことでデータを判断する「教師なし学習」と概念的には同じであることがお判りいただけるのではないでしょうか。

 

クラスタのイメージ

今回は、AI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」の意味について、関連用語を交えながら詳しく解説してきました。

「クラスタ」とはAI(人工知能)学習データにおいて似た者同士をひとまとめにしたグループを意味するものでしたよね。そして、膨大なデータの中からこの似た者同士のグループを抽出してビッグデータなどの分析を行う手法が「クラスタリング」あるいは「クラスター分析」と呼ばれるものでした。

また、機械学習の手法ひとつである「教師なし学習」は、データ自身が持つ特徴点を分析していくことで、グループ分けするという観点から「クラスタリング」と同じ概念を表すものであるということも理解できました。

このように「クラスタ」の概念や意味を理解しておくことで、AI(人工知能)の機械学習をより深く学ぶことができるということがお判りいただけたのではないでしょうか。興味を持った方はぜひ書籍などでさらに詳しく学んでいきましょう。

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