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どんどん登場!日本の未来を変えるかもしれない最新介護ロボット10選

どんどん登場!日本の未来を変えるかもしれない最新介護ロボット10選

近年、日本では急激な高齢化が進んでいます。そういう私の祖母もいつの間にか高齢者の仲間入り。最近めっきり足腰が弱くなり、入浴時など介助していると私の方が「あー腰が痛い!」と悲鳴を上げてしまいます。こんなとき介護ロボットがあったらなあ~と思う人は、たくさんいらっしゃいますよね。

そして介護施設の現場でも多忙過ぎる業務体系や人手不足が深刻化しています。たとえば一人の介護職員が何十人もの高齢者を担当することで、慢性的な腰痛になり仕事を休んでしまったり、限られた人員で、夜間でも排泄(はいせつ)や床ずれ防止のために体の位置を換えるお世話をすることで、十分な休息ができないという問題もおこっています。

これではいけない!と、政府がロボット介護機器の開発・導入促進に戦略的に取り組むことを発表し(2013年6月)これがきっかけとなり、介護ロボットがどんどん開発され現場でも活躍し始めました。

こうした介護ロボットは、疲れを知らず昼夜働いてくれるので、介護施設の現場はもちろん、家庭で介護している人にとって大きなメリットになっているんです。今後、ますます開発される介護ロボットによって、高齢者のくらしも変わっていくでしょう。

そこで今回は、どんどん登場する、日本の未来を変えるかもしれない最新介護ロボット10選をご紹介していきましょう。

介護施設や家庭で「介助する人」を助ける介護ロボット

介護をサポートのイメージ

まず、介護ロボットと聞くと鉄腕アトムのように、なんでもこなせるロボットを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、現実にはまだそんなロボットは開発されていません。

現在介護ロボットと呼ばれているのは、人間のような形をして歩きまわっているのではなく、何か一つのことに特化したロボットがほとんどです。でも見くびってはいけません。介護ロボットの最新技術はすごいことになっているんです。

最初は、介護施設や家庭で介助する人を助ける、装着型介護ロボットを見ていきましょう。

ロボットスーツHAL (介護支援用 腰タイプ)~CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社~

介護ロボット「HAL(ハル)」は、ロボットスーツの代名詞的存在にもなっていますが、テレビのCMなどでもおなじみでしょう。これは、高齢者がベッドから車いすなどに移るお手伝いのときに、介助者の腰にかかる負担を軽減してくれる、腰に装着するタイプのものです。

気になる仕組みですが、人が「歩きたい」など体を動かすときに脳から筋肉に送られる「生体電位信号」というものを読み取って、その信号の通りに動いてくれるんです。

つまり装着者の脳の意思を認識してくれて、動きをサポートしてくれるわけです。そのため、ふだんより大きな力を出すことができて介助が楽になります。それに、ロボットスーツというネーミングを聞くと重厚なもののようですが、約2.9キロで女性でも気軽に装着できるのはありがたいですよね。

腰補助用マッスルスーツ®~株式会社イノフィス~

マッスル!だなんてマッチョで元気が出そうな名前ですが、もともとは「動けない人が動けるようになる」自立支援型を目指していました。そのうち介護や福祉の業界からも介助に役立つとして、注目されるようになったんです。

マッスルスーツ」のしくみとしては、空気圧を送ると非常に大きな力で収縮する人工筋肉を使用していて、腰から背中にかけて背負うように装着し、入浴などのお手伝いのとき介助者の腰の負担を軽くしていきます。さらに、接続ケーブルなどもないので装着者は自由に移動することができ、小回りも利きますよね。

実際に、北九州市の社会福祉法人「広緑会」では、利用者4名(体重40キロ以上)週2回の入浴時に利用していますが、介助者の腰痛が軽減されたのはもちろんのこと、慣れた介護スタッフなら歩きながらでも装着できるとのことで、作業の時間短縮にもつながっています。これは一石二鳥ですよね。

次にご紹介するのは、ベッドから車いすなど介助者が高齢者を抱え上げる動作をアシストしてくれる非装着型の介護ロボットです。

ROBOHELPER SASUKE~マッスル株式会社~

この「ROBOHELPER SASUKE」は「お姫さまだっこ」のように介護者の下に敷いたシートごと、優しく抱えるようにベッドから抱き上げることができるんです。ちなみに、この何でもなさそうなシートが実は優れもので、介護を受けている人の体圧を分散できるため、介助者の負担が少なくなるというもの。

操作の手順はとてもシンプルですが、揺れも少なく一人でも軽い力でベッドから車いすなどへ移乗させることができます。しかも、高齢者にとってシートと一緒に動かされると安定感があり、不安も少なくなりますよね。

介護される人の歩行や移動を助けるロボット

歩行サポートのイメージ

ここまで、介護する人を助けるタイプのロボットを紹介しましたが、一方で介護される人の日常の活動(歩行や移動)を助けるタイプのロボットもたくさん開発されているんです。

自立支援型移乗介護ロボット「愛移乗くん(あいじょうくん)Ⅱ」~株式会社アートプラン~

この愛らしい名前の「愛移乗くん(あいじょうくん)」は、上半身は動かせても下半身が動かせない人のために、介助者の手を借りることなく一人での移乗をサポートしてくれるロボットなんです。

すでに活躍中の「愛移乗くん」は、ベッドに腰かけて腰を曲げた「おんぶ」の姿勢から移乗するものでしたが、最新の「愛移乗くんⅡ」は腰の曲がらない方でも、座った状態から移乗動作が可能になりました。

今まで、「上半身はこんなに動くのに下半身が…」と歯がゆく思っていた人にとって、一人でベッドからトイレに座れるようになると自立にもつながりますよね。

また、高齢者の中には自分の力で歩けるけれど、座り込んだり、立ち上がるときの動作が不安という方も多いはず。そんな方のために開発された屋内の歩行支援ロボットをご紹介しましょう。

屋内型ロボットウオーカー~RT.ワークス株式会社~

ロボットウオーカー」は、ハンドルの上昇と車輪制御によるアシストで、不安な立ち上がりの動作を安定させてくれるロボットです。また、トイレなど中腰になる時間が長い場合も無理なく姿勢が保てます。

そして一番すごいのは、人の動きに合わせてアシストとブレーキを自動で制御してくれ、事故を防いでくれることです。それにスマホやインターネットに接続することで、リアルタイムの動きを確認できるので介護職員や家族にとっても安心ですよね。

この他にも高齢者が外出する際、歩行や荷物の運搬を助けてくれる介護ロボットがあります。

外出支援用ロボット機器 RoboCart(ロボカート)~CYBERDYNE株式会社~

足腰が弱くなった高齢者でも、自分の足で歩いて買い物に行きたいですよね。その夢をかなえてくれるのが「RoboCart(ロボカート)」なんです。

これは、サドルがなくて立って動かす自転車のような形で、前方に荷物を収納するカゴがついています。そしてスムーズな歩行ができるように、リアルタイムで速度・歩幅・方向などの足の運び方を解析してサポートしてくれます。心配される階段や上り坂、砂利道でも、前2輪の駆動力で走破できます。

また、ハンドル部分や支柱が折り畳み構造となっているので、普通自動車のトランクに収納でき、スーパーなどの目的地で降ろして、そこから使用できるのはありがたいですよね。

次にご紹介するのは、同居していない高齢者などの普段の暮らしをそっと見守る介護ロボットです。

普段の暮らしを見守り、癒す介護ロボット

見守りロボットのイメージ

見守り支援システム「いまイルモHI」~株式会社ソルクシーズ~

いまイルモHI」の特徴は、見守る相手のプライバシーを尊重しながら、スマートフォンで離れて暮らす家族の安否が確認できるというものです。

最近は、高齢者といわれても「私はまだまだ元気!」とイキイキしている方も多いでしょう。でも家族にとっては、いつ何が起こるかわからないので、ちょっとした予兆のようなことがわかるとありがたいですよね。

これは、設置された見守りセンサーが人の動きや温度、湿度などを検知してスマートフォンに送られてくるという仕組み。また、トイレに設置している場合はトイレの回数も表示されます。トイレの使用状況は健康状態に深く関わってくるので、いつもと違うときは「何かあったの?」と連絡できます。それに室内の温度がわかるので熱中症対策にもなりますよね。

何よりも「センサー」による見守りなので、人に気を遣うことがなく心理的負担も軽くなるでしょう。

他にも、癒しながら高齢者を見守ってくれる介護ロボットが登場しています。

PALRO(パルロ)~富士ソフト株式会社~

PALRO(パルロ)」はAI(人工知能)を持つ小型のヒューマノイドロボットです。このロボットは会話を得意とするのですが、なんと100人以上の顔や声を認識して記憶できるんです。

なので、相手の顔を見て「○○さん、おはようございます!」と名前を呼んでくれます。それに、その人に合った話題も提供してくれるので、まるで人間と会話しているみたいですよね。そして会話すればするほど、情報を蓄えて理解も深めてくれるので、自分をわかってくれる親友のような存在になるはずです。

これだけじゃありません。歩行能力もあり、一緒に体操もしてくれます。PALRO(パルロ)と一緒なら、ついつい体も動いて運動不足解消になりますよね。もちろんネット接続機能もあり、知らない言葉が出てくると「調べておくねー」と自分で学習もするんです。それに姿形もかわいくて、高齢者にとっては孫と一緒にいる感覚になりますよね。

次にご紹介するのは、ちょっと変わった癒し介護ロボットです。

LOVOT(ラボット)~GROOVE X(グルーブエックス)~

見た目はロシアの民芸品「マトリョシカ」に似ていて、ちょっととぼけた顔が愛らしいです。この「LOVOT(ラボット)」開発で大事にしたのは「人に愛される仕掛けづくり」とのこと。重さは3キロで、生まれたばかりの新生児とほほ同じ。人に抱っこされると人肌くらいの暖かさになり、おなかをさすられると眠ってしまうなんて……癒されますよね。

もちろん、見守り機能や留守番機能もあるので、たとえば離れた実家に置いておくと親がいつ抱っこしたかわかるしくみになっています。

ただ、今は2体セットで約60万とかなり高額です。そのうちお手頃価格になりペット市場よりも大きくなると予想されていますが…。

最後にご紹介するのは、かなり人間に近い動きをする、これから期待される介護支援ロボットです。

排せつの処理も想定、介護業務全般をサポートする人工知能搭載ロボット

仕事ができるイメージ

アイオス・ロボット~アイオス・ロボテックス社~

米サンフランシスコで開発された(2018年)AI(人工知能)・機械学習機能搭載型ヒューマン支援ロボットアイオス・ロボット」は、いよいよ日本の介護分野でも活躍してくれそうです(2019年~)。

このロボットには「AI(人工知能)ビジョンセンサ」が搭載しているので、カメラの画像から周囲のヒトやモノを認識したり学習することができます。たとえば介護される人が横たわっていても後ろ向きでも、同一人物だとわかるんです!

そんな特技をいかして、介護施設でも人手不足解消のために、「アイオス・ロボット」による業務サポートを目指しています。たとえば洗濯物を集めたり、排せつ物の処理、配膳や片付けの支援も想定されています。

もちろん高齢者などの転倒者を発見したら、スマートフォン経由ですぐにスタッフに知らせてくれます。また単独でエレベーターの利用階ボタンを押して、上下階への移動もできるんです。これで、階をまたがっての仕事も任せられますよね。

こんな多くの仕事をこなしてくれるロボットなら、介護施設で引っ張りだこになること間違いなし。

まとめ
さて今回は、どんどん登場する日本の未来を変えるかもしれない最新介護ロボット10選をご紹介してきました。

介助する人を助ける介護ロボット

  1. ロボットスーツHAL (介護支援用 腰タイプ)
  2. 腰補助用マッスルスーツ
  3. ROBOHELPER SASUKE

介助される人を助ける介護ロボット

  1. 自立支援型移乗介護ロボット「愛移乗くん(あいじょうくん)Ⅱ」
  2. 屋内型ロボットウオーカー
  3. 外出支援用ロボット機器 RoboCart(ロボカート)

高齢者などを見守もり、癒す介護ロボット

  1. 見守り支援システム「いまイルモHI」
  2. PALRO(パルロ)
  3. LAVOT(ラボット)

さまざまな介護業務をサポートする介護ロボット

  1. アイオス・ロボット

ここでご紹介したのはほんの一部ですが、介護ロボットの開発を進めているメーカーさんは確実に増えています。

このような介護ロボットの導入で、介助する人の体力的負担が減り、その分他の業務に専念でき、高齢者とのコミュニケーションも増えていくでしょう。

また、高齢者など介護される人もロボットがサポートしてくれると、「忙しいのに申し訳ないなあ」という気持ちが軽減して、「よし!自分で歩いてみよう」という自立にもつながっていきますよね。

まだまだ、介護ロボットの価格や大きさ、安全面など課題はありますが、新しい機能が増えていくことで、高齢者もどんどん自分で動いて元気になり、新たな「生きがい」も見つけてくれるに違いありません。

こうした介護ロボットの登場で、日本の未来はもっともっと明るくなると期待していきましょう。

 

引用元

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