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データを集める前に知っておきたい!初心者向けWebスクレイピング

データのイメージ

Web上から必要な情報を集めたいとき、Webスクレイピングは便利ですよね。

誰もがインターネットを利用している現代社会では、Web上にある情報は大事な資源になっています。

特に企業にとって、これらの情報は経営戦略や新商品・サービスの開発にも活用できるので、大事な存在であり、Web上から必要な情報を得られるWebスクレイピングは、必要不可欠な技術なのです。

しかし「Webスクレイピング」という言葉はあまりなじみがないので、その存在自体を知らず、仕事で初めてWebスクレイピングを「知った」「行った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そして初心者がよく理解せず安易にWebスクレイピングを行うと、大変な事態を招く恐れもあるので注意が必要です。

今回は初心者にも安心してWebスクレイピングを行ってもらうために、概要や注意事項、Webスクレイピングを行う方法などについてお伝えします。

Webスクレイピングとは

スクレイピングのイメージ

Webスクレイピングとはスクレイパーと呼ばれるプログラムで、インターネット上にある情報を収集し、取得した情報を利用しやすくするために抽出・加工する技術です。

Webスクレイピングの語源は、英語のscraping(こすり、ひっかき)で、Web上で必要な情報を収集するのでWebスクレイピングと呼ばれています。

そしてWebスクレイピングと同じような技術としてクローリング、APIがあります。

クローリング

クローリングもWebスクレイピングと同じく、インターネット上にある情報を収集する技術です。

クローリングでは、「クローラー(*1)」と呼ばれるプログラムが情報収集をしており、その作業をクローリングと呼んでいます。

Webスクレイピングとクローリングの大きな違いは、集めた情報を抽出・加工するかしないかです。しかし、実際のところ両者に明確な線引きはされていないので、同じような意味で使用されていることが多いです。

API

API (Application Programming Interface)は一定の条件のもと、Webサービス側が開発者に情報や機能を提供するシステムです。

APIの場合は公認されている情報を利用します。これに対してWebスクレイピングでは、関係なくWeb上の情報を利用しているので、これが両者の違いになります。

(*1)クローラー
クローラーで有名なのがGoogleの「Googlebot」です。
Googlebotが世界中のWebサイトから情報を集めて登録しているので、私たちはWebブラウザで検索し情報を得ることができます。

Webスクレイピングはどんな時に必要か

キーボードのイメージ

Webスクレイピングは、Web上にある特定の情報が必要なときに大変便利な技術ですよね。

では、具体的にどのようなときなのか、いくつかの場面を挙げてみましょう。

  • マーケティングに必要な競合他社の商品情報を取得したいとき
  • 自社サイトの検索順位をチェックしたいとき
  • 不動産サイトから希望の物件情報を調べたいとき
  • Googleマップからお店の情報を取得したいとき
  • 転職サイトから希望条件にマッチした求人票だけを取得したいとき

など

この他にも考えれば「Webスクレイピングが必要な時」がいろいろとあります。これは裏を返すと、Webスクレイピングが大変便利な技術だということです。

Webスクレイピングをするメリット

仕事のイメージ

また、Webスクレイピングはさまざまなケースで活用できる便利な技術です。この「便利」がWebスクレイピングのメリットであり、主に下記の3つがそれになります。

業務の効率化

企業でWeb上から手作業で情報を集めて整理する場合には、かなりの時間と労力が必要になります。

しかしWebスクレイピングを利用すれば人によるミスの心配はなくなり、情報収集から加工・抽出まで自動化できるので、業務を大幅に効率化できます。

APIでは入手できない情報、手元にはない情報が取得できる

APIはすべてのWebサイトから提供されているわけではありません。

そのため、Webスクレイピングにはそれ以外のWebサイトからも情報収集できるメリットがあります。またAPIが提供されていても、欲しい情報が取得できないことがあり、その場合にも利用できます。

ビジネスチャンスが生まれる

各企業で持つ情報は内容に限りがあります。

そこでWebスクレイピングを利用すれば、Web上から必要な情報を収集し分析などを行うことで、「Webスクレイピングはどんな時に必要か」で挙げたことなどに活用でき、新たなビジネスにつなげられます。

上記の3点が主なメリットですが、実際にWebスクレイピングを行う場合には、注意事項があります。

Webスクレイピングで注意すること

スクレイピングを利用するイメージ

しかしWebスクレイピングを行う際中が必要です。それではそれら注意事項をご紹介しましょう。

Webサイトの構造変更

WebスクレイピングはHTMLをもとにして、情報を取得しています。

そのため取得先のHTML構造が変わると、情報収集ができなくなる可能性があるので、アプリやサービスにWebスクレイピング機能を組み込んでいる場合は、プログラムの修正やWebスクレイピング先を変える対応が必要になります。

Webサイトからアクセス拒否

Webスクレイピングを頻繁に行うなどで、不審な動きになるログが残ると、Webサイトからアクセス拒否されることがあります。そうなると、そのWebサイトから情報を得られなくなるので、自社サービスに影響が出るなどの不都合が生じるでしょう。

またWebスクレイピングをブロックしているサイトもあります。

法律に抵触する危険性

Webサイトには利用規約にWebスクレイピングを禁止していることがあります。

その場合にWebスクレイピングを行うと、法律に抵触する可能性があるので、事前に対象サイトの利用規約を確認しましょう。

またWeb上の情報には著作権法などで守られている場合があります。

そのため、安易に情報を取得し利用すると訴訟問題になることもあるので注意しましょう。

セキュリティリスク

そしてセキュリティリスクも注意しましょう。

2010年に起きた「岡崎市立中央図書館事件」は、Webスクレイピングが原因でした。この図書館の利用者の一人が、自作のクローラーで蔵書検索システムから本の情報を取得しようとして、システム障害を起こし逮捕されました。

この利用者が意図的にシステム障害を起こしたわけではありませんが、Webスクレイピングは場合によって事件化する可能性があります。

この4点の中で特に注意してほしいのが「法律に抵触する危険性」「セキュリティリスク」です。

どちらも訴訟や事件に発展する可能性があります。そのためWebスクレイピングは「対象サイトに迷惑をかけない」を前提に行いましょう。

初⼼者はソフトやサービスを使ってWebスクレイピングしてみよう

スクレイピングをしているイメージ

それではこれらを踏まえた上でWebスクレイピングをはじめてみましょう。

現在はWebスクレイピングが利用できる、さまざまな「ソフトウェア・サービス」が提供されています。これらは手軽にWebスクレイピングを実行できるので、初心者におすすめします。

そして現在よく利用されているWebスクレイピングの「ソフトウェア・サービス」は、次の通りです。

Octoparse

Octoparseは、プログラミングの知識がなくても簡単にWebスクレイピングが行えるソフトウェアです。
  • 無料・有料/ソフトウェア
  • 公式サイト…Octoparse

Import. Io

Import. Io はWebスクレイピングを実行したいWebサイトのURLを入力するだけで、手軽に情報を抽出できるサービスです。
  • 有料/サービス
  • 公式サイト…Import. Io

80legs

80legsは、Webスクレイピングの要件をカスタマイズしURLを入力するだけで、情報を抽出できます。
  • 無料・有料/サービス
  • 公式サイト…80legs

Cyotek WebCopy

Cyotek WebCopyは、対象サイトのコンテンツをハードディスクにコピーできます。またコピーする前に、サイト内をスキャンしてリンク先のURL一覧を取得することも可能。

Mozenda

Mozendaはソフトウェアおよびサービス形式で、簡単にWebサイトから情報を抽出できるWebスクレイピングを提供しています。
  • 無料・有料/ソフトウェア・サービス
  • 公式サイト…Mozenda

以上がWebスクレイピングができるソフトやサービスです。

Webスクレイピングの「ソフトウェア・サービス」には有料と無料があります。有料の場合は機能が充実しているので安心して利用でき、無料は費用が掛からないので気軽に使うことができるでしょう。

Webスクレイピングを極めるならプログラミングしよう

データのイメージ

Webスクレイピングは紹介した「ソフトウェア・サービス」以外に、スクレイパーをプログラミングすれば自作できます。

初心者にとってプログラミングは、ハードルが高いと感じるかもしれません。

しかしライブラリ(*2)を使用すれば、初心者でもWebスクレイピングのプログラムを構築することが可能です。

そこでWebスクレイピングのプログラミングで「最低限、必要な知識」、「おすすめのプログラミング言語」を紹介します。

(*2)ライブラリ…単体で機能しませんが、よく使用されるプログラムを必要なとき、使用できるようにまとめているプログラム集。

「最低限、必要な知識」

Webスクレイピングでは、Webサイトを構成しているHTML(*3)とCSS(*4)を読み取り、そこから必要な情報を抽出しています。

そのためHTMLとCSSの知識がなければなりません。

またWebサイト上のクリックボタンを押すとへこむ動き、一定の時間が経過すると画像が変わっていく仕組みには、プログラミング言語のJavaScriptが使用されているので、その知識も必要になります。

HTML・CSS・JavaScriptについて深く学ぶ必要はありませんが、ある程度の理解は必要です。

(*3)HTML(Hyper Text Markup Languageの略)…Webサイト内で文章を表示する役割をしています。

(*4)CSS (Cascading Style Sheetsの略)…Webサイト内の文字や背景の色の設定や画像の配置など、デザインする役割をしています。

「おすすめのプログラミング言語」

Webスクレイピングのプログラミングを行うなら、ライブラリを使用すると簡単にプログラミングができます。

ここではライブラリが豊富で初心者でも扱いやすい2つのプログラミング言語を紹介しましょう。

  • Python
AI(人工知能)開発で重宝されているプログラミング言語です。他の言語よりも豊富にライブラリがそろっており、Webスクレイピングには「Requests」と「BeautifulSoup」という2つのライブラリを使用すれば、プログラミングも簡単に行えます。
  • Ruby
Webアプリケーション開発で人気の高いプログラミング言語になります。RubyはWebスクレイピングにもよく利用されており、ライブラリの「Nokogiri」は定番になっています。

「最低限、必要な知識」で紹介したHTML・CSS・JavaScriptについては、難しいようにイメージされる初心者も多いでしょうが、「どこに何が書かれているのか」を理解できるようになればいいので、さほど難しくはありません。

また「どこに何が書かれているのか」が知りたい場合には、デベロッパーツール(開発者ツール)(*5)を使用すると分かりやすいので便利です。

そしてプログラミングもライブラリを使用すれば難易度も低くなるので、初心者の方もぜひ挑戦してみましょう。

(*5)
Googleブラウザ・chrome・デベロッパーツールガイド
Microsoftブラウザ・edge・デベロッパーツールガイド

 

キーボードのイメージ

WebスクレイピングはWeb上にある必要な情報の収集・抽出・加工に便利な技術です。

同じような技術にクローラー・APIがあり、Webスクレイピングとの違いは次の通りになります。

  • クローリング・・・インターネット上にある情報を収集するだけ
  • API・・・Webサービス側公認の情報を利用する

Webスクレイピングの場合、公認かどうかは関係なくWeb上にある情報が対象になり、情報収集に加えて抽出・加工を行います。

そして、このWebスクレイピングの機能が次のメリットを生んでいます。

  • 業務の効率化
  • APIでは入手できない情報、手元にない情報が取得できる
  • ビジネスチャンスも生まれる

上記のようなメリットがWebスクレイピングにはありますが、使用する上で次のような注意が必要です。

  • Webサイトの構造変更
  • Webサイトからアクセス拒否
  • 法律に抵触する危険性
  • セキュリティリスク

Webスクレイピングは法律に触れる場合や、意図せず事件に発展するケースもあるので注意して行いましょう。

そしてWebスクレイピングが行えるさまざまな「ソフトウェア・サービス」が提供されています。

これらは簡単な操作でWebスクレイピングが実行できるので、初心者の方におすすめです。

また極めたいなら、プログラミングで自作のWebスクレイピングに挑戦してみましょう。

Webスクレイピングは現代の情報収集で欠かせない技術です。

そして「ソフトウェア・サービス」を利用すれば、初心者でも簡単に行えるので実践してみましょう。

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