VR元年と言われたのが2016年。あれから3年が経ちますが、VRはどんどん私たちの身近になってきていて、教育にも使われてきています。
ユーザーが頭や体を動かすと、映像もそれに応じて動くため360度見渡すことができるため、能動的に情報を受け取ることができます。
そこでこの記事では、VRを教育に用いるメリットデメリットを見ていきながら、教育現場での活用例をご紹介します。まずは、VRが教育現場にもたらすメリットデメリットを見ていきましょう。
VR教育のメリットとデメリット
養成に時間がかかり、絶対にミスが許されない職業と言えば、パイロットが頭に浮かびますよね。なぜなら訓練をするたびに飛行機を飛ばしていてはコストがかかりすぎるため、フライトシミュレーターを使うことが多いからです。
そこで注目されているのが、VRによる教育です。まずは、VR教育のメリットとデメリットを見ていきましょう。
VR教育のメリット
能動的に理解を深められる
教科書による教育は、写真や文章で理解し、それでも理解が難しい分野に関しては映像を用います。映像はどうしても受け身になり、自分が見たい角度や場所とずれてしまうことが多いため、理解がしづらくなってしまいますよね。
でもVRを用いれば、自分で頭を動かし、見たい箇所をきちんと観察することで、理解が深まるでしょう。
集中しやすい
特に子どもは、教科書やモニターが目の前にあっても、視界に入るものすべてが気になってしまいます。前の席の子の寝ぐせや、窓を横切る鳥、先生のほくろの位置など、集中をそぐものはいくらでもありますよね。
でもVRを装着すれば、視界にはよけいなノイズは入りませんから、目の前のことにだけ集中することができます。
危険のリスクがない
最初に触れたパイロットの件ですと、実際に飛行機に乗り込んでしまったら、失敗は許されませんよね。ましてや研修中の身であろうと、飛行機を落とすわけにはいきません。
それに対し、VRなら、けがのリスクを負うことがなく、失敗が許されない操作や、危険な現場の体験をすることができます。
複雑な内容でも理解しやすい
細胞の中に浮かぶミトコンドリアなどの小さいもの、地球の断面や銀河の構成などの大きいもの、原子の中の構造などの概念的なものは、直感として受け止めづらいですが、VRなら、自分が小人になったり巨人になったりして360度自由に眺められ、複雑な構造を直感的に理解することができますよね。
実際に5次元、6次元、さらに上位次元の解説を紙で見ましたが、ぜんっぜん分かりませんでした(笑)。理解したいので、VRには大いなる期待を抱いています!頑張れVRっ!
VR教育のデメリット
導入コストがかかる
VRを導入するには、どうしてもコストがかかってしまいます。パイロットが使うフライトシミュレーターほどでなくても、例えばハードウェアとして頭部に装着するゴーグル、そしてソフトウェアが必要となってきます。
そしてまだまだ新しい技術ですので、ソフトウェアのバリエーションが少なく、高価なものとなっています。
VRがもっと普及すれば、制作ノウハウも広まるし、開発者が多くなることで価格競争が起きて安くなっていくかもしれませんが、現状ではお手軽価格とは言えないお値段です。
(先生や親たちの)理解が得られない可能性がある
VRは新しい技術ですから、ユーザーはもちろんのこと、それを取り入れる教育現場、企業の決裁権を持つ人たちの理解が得られない可能性があります。
学校教育においては、保護者の理解も必要となってきますが、これもまた理解を示す人と、新しい技術を嫌う人と出てきそうです。
もっとVRが広まり、その有用性が分かってもらえれば、この問題は解決しそうですよね。
さて、VRを教育に用いるときにメリットデメリットをご紹介しました。次からは、実際にVRを教育に活用している事例を見ていきましょう。
VR教育の活用例
Walmart
世界最大の大手スーパーマーケットチェーン、Walmartでは、スタッフの教育にVRを導入しています。そのコンテンツは「クリスマス商戦の体験VR」です。
クリスマスは1年に1度しか来ませんから、新人スタッフは未経験、中堅スタッフも忘れてしまっていることがありますが、VRがあればクリスマスの混雑を疑似体験できます。VRを体験していないスタッフにもモニターを通して共有されるため、同時に多くの教育ができそうですよね。
私もアルバイトをしたことがありますが、クリスマスや年末年始などの混雑は、体験してみないと分かりませんし、2年目くらいになっても「大変だったなー」という感想は残っていても、どのように大変だったかまでは覚えていなかったりします。ですので、こういうVR教育はとても有意義ですよね。
NASA
NASAでも、VRを用いた教育が活用されています。
そんな巨大プール、水を満たすだけでも大ごとですし、そこへシミュレーションを行う機材を運び込むのも大変ですよね。
そのため、VRを教育に導入したところ、効果はてきめんで、コストを大幅に抑えることができたうえ、トレーニング効果もバッチリだったとのことです。
KFC
あのケンタッキーフライドチキンでも、VRを使ったスタッフ教育を行っています。こちらは、調理するまで部屋から出られないというシチュエーションになっていて、ゲーム感覚で研修を受けることができます!
これは楽しそう!やってみたい〜!
Bronx Latin School
アメリカのBronx Latin Schoolでは、VRを社会科の教育に使っています。なかなか気軽には行けない外国の空間をVRで味わい、まるでそこに訪れたかのような感動を得られるとか。
武蔵野大学付附属千代田高等学院
こちらの学校では、地震が発生するメカニズムを理解するために、VRを使った教育が行われました。生徒たちは地球の構造をモデル化したコンテンツを用い、模型よりもリアルな地球に触れ、さらに地球からプレートを切り離すという操作まで実現。
さて、VRを教育に用いるメリットとデメリット、そして実際にVRを取り入れている活用例をご紹介しました。ここでざっと内容を振り返ってみましょう。
VRのメリット
- 能動的に理解を深められる
- 集中しやすい
- 危険のリスクがない
- 複雑な内容でも理解しやすい
VRのデメリット
- 導入コストがかかる
- 理解が得られない可能性がある
活用例5つ
- クリスマス商戦の体験ができるWalmart
- 船外活動のシミュレーションを低コストで実現したNASA
- ゲーム感覚でスタッフ研修ができるKFC
- さまざまな国に行った気分になれるBronx Latin School
- 地球のモデルを確認し地震が起こるメカニズムが理解できる武蔵野大学付附属千代田高等学院
うちにもうすぐ2歳になる息子がいるんですが、彼が小学校にあがる頃には、もっと普及しているのかもしれません。とても楽しみです。
VRはまだまだ新しい分野ですから、これからますます発展しそうでワクワクする技術ですよね。
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