さまざまな分野で実用化が進められているAI(人工知能)は、これからの仕事に影響を与えるのは間違いなく、具体的にAI(人工知能)によってどのような仕事がどうなるのか気になりますよね。
近い将来さまざまな仕事が人間に代わりAI(人工知能)が行うようになり、人間のできる仕事が少なくなると予想されています。
実際にイギリスのオックスフォード大学によると、今後、現在ある90%の仕事はAI(人工知能)に代替されると公表されており、野村総合研究所は15年で49%の仕事がなくなると発表しました。
しかし現在あるすべての仕事がなくなるわけではなく、なくならない仕事もあればAI(人工知能)によって成長する仕事、新しく生まれる仕事もあるのです。
そこで、これからの仕事がAI(人工知能)によって、どのような影響を受けて変化していくのかについてお伝えしましょう。
AI(人工知能)に奪われる、なくなると⾔われている仕事の特徴
まずAI(人工知能)について知ることが、これからの仕事について考える第一歩です。
AI(人工知能)が代替して、なくなる仕事の特徴は言い換えるとAI(人工知能)の得意とすることで次の3点が挙げられます。
- 正確で速いデータ処理
- データを照らし合わせて共通点を見つけること
- データに基づいた単純作業
この3点から今後AI(人工知能)によってなくなる仕事の特徴は大きく2点あります。
AI(人工知能)にとって決められた単純なことを繰り返し行うのは得意であり、常に効率的に仕事を行うようにできるのかを追求し改善され続けています。そのため工場などで行われている単純作業は人間よりもAI(人工知能)の方が、生産性が高いのです。
データの分析や計算はAI(人工知能)の得意分野であり、簡単な計算から高度な計算まで人間よりもはるかに速く正確に行えます。そのためデータを扱う仕事や計算をする仕事は、なくなる可能性が高いでしょう。
では、この2つの特徴にどのような仕事が当てはまるのか具体的に説明します。
レジ打ち
レジ打ちはすでに無人化されている店が多くあり、近所のスーパーにセルフレジがある風景は珍しくなくなってきました。しかし現段階のセルフレジはAI(人工知能)が行っているのではなく、ただ買い物客が自分で行うようになっているだけです。
ですが昨年アメリカでは、Amazon社がAI(人工知能)を活用した「Amazon Go」というスーパーマーケットの運営をはじめました。このスーパーマーケットは日本のセルフレジとは全く違い、AI(人工知能)を活用しレジを通すことなく会計を済ませるお店なのです。
画期的ですが課題もあり、多くの来客があるとシステムがうまく作動しない場合や、商品の補充方法について改善が必要なようです。
しかし近い将来日本にも同じような店ができると予想されるので、レジ打ちの仕事はなくなっていくでしょう。
タクシーやバスの運転手
ところでAI(人工知能)と聞いて、まず自動運転車を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
現段階では一部の自動車はオートパイロットシステム(半自動運転)により、高速道路などの限られた環境での半自動走行が可能です。
しかしアメリカのテスラ社製の自動車で、オートパイロットシステムで走行中に死亡事故の事例が発生しました。ですからまだ自動運転車の実用には乗り越えなければならない、いくつかの課題があります。
今後この課題が解決すれば自動運転車が実用され始めるので、これからの仕事の選択肢からドライバーの仕事がなくなるでしょう。
事務関係の仕事
現在、書類作成などのペーパーレス化が多くの企業で進められており、会計ソフトにはクラウド型も登場し事務経験のない初心者でも簡単に扱えるシステムに進化しています。
現在よりもAI(人工知能)が進化すれば事務関係の仕事はAI(人工知能)に代替されてなくなるでしょう。
機械などのオペレーションの仕事
日本はモノづくりに関して技術力が高い国と言われていますよね。ですから日本各地にはさまざまな商品を加工・製造している工場があります。その作業工程と品質管理を支えているのは産業用機械です。
現在ほとんどの工場では機械のオペレーションを人間が行っていますが、すでに産業用機械へのAI(人工知能)搭載は進められています。ですから近い将来人間に代わってAI(人工知能)が機械のオペレーションも行うようになるでしょう。
以上がAI(人工知能)が得意とする仕事でした。しかし上記で紹介した仕事以外にも多くの職種が名指しでなくなると予想されています。
しかしすべての仕事がAI(人工知能)にできるわけではなく、なくならない仕事もあるのです。
AI(人工知能)に奪われない、なくならないと⾔われている仕事の特徴
AI(人工知能)の進化で多くの仕事がなくなると予想されていますが、ここからはなくならないと予想されている仕事について紹介していきましょう。どのような仕事がなくならないのかこれから将来を見定めるためには気になることですよね。
これからの仕事を選ぶポイントには、AI(人工知能)が進化してもなくならない仕事に就くことが重要になってきます。
分かりやすく、なくならない仕事の特徴を説明すると、AI(人工知能)よりも人間が行う方が効率のいい仕事、またはAI(人工知能)にできない仕事です。言い方を変えればAI(人工知能)が苦手な分野の仕事はなくならないと言うこと。
なくならない仕事の特徴
AI(人工知能)はインプットされたデータをもとに計算をして業務を行うので、正確に効率よく仕事ができますよね。
しかし裏を返すと「インプットされていないことはできない」ということであり、AI(人工知能)にとって新しい発想や新しいモノを作り出すような仕事は難しいと言えるでしょう。
そしてAI(人工知能)に難しい仕事には、「創造力・判断力が必要な仕事」と「人間の感情に関わる仕事」が挙げられます。
創造力・判断力が必要な仕事
そしてAI(人工知能)は過去の事例をもとにして予測するので、前例のないことに対応する能力が乏しいので判断力にかけます。
そのためAI(人工知能)には「創造力・判断力が必要な仕事」は難しいと言えるでしょう。
人間の感性に関わる仕事
先ほどの「創造力・判断力が必要な仕事」でも説明したことと同じように、AI(人工知能)にとって人間の感性も集められたデータを分析し計算しても求められることではないので、人間の感情を動かしたり、心を読んだりすることは難しいでしょう。
例えば、文章を読んだり書いたりすることはできますが、文章から人間のように文脈を読むといったことはできません。
このように人間の感性に関わることはAI(人工知能)にとって難しい仕事です。
では具体的に「創造力・判断力が必要な仕事」と「人間の感情に関わる仕事」に当てはまるのはどういった仕事なのでしょうか。
アーティスト・漫画家・作家などクリエイター
人間が創作した絵や造形物・物語などは作者が経験などから発想し創作して、他にない新しいモノが生み出しますよね。そしてそれらは見たり、触れたり、読んだりすることで人間の五感を刺激してくれます。
AI(人工知能)にも絵を描いたり文章を書いたりすることはできますが、それはデータをもとに機械的に作られたモノで、AI(人工知能)が自発的に発想して作られるモノではありません。
つまりAI(人工知能)には作業ができても創作はできないので、想像力や表現力が必要なアーティスト・漫画家・作家などクリエイターの仕事がAI(人工知能)に代替されることはないでしょう。
この他にも新たなモノを考えて作り出す技術開発や研究職、企業に新たな戦略を考え提案するコンサルティングなどもAI(人工知能)には難しい仕事だと言えます。
判断力が要求される仕事
AI(人工知能)はあくまでも経験にもとづいたことしかできないので、不測の事態が起きても対応する能力は非常に乏しく、判断力がありません。
そのため、さまざまな場面で重要な判断をしなければならない経営者や責任者がAI(人工知能)に代替されることはないでしょう。
学校の教師
しかし、現在プログラミングや英語、数学の教育など、スキルを身につけるためにパソコンで学習するサービスができており、学校教育で部分的にAI(人工知能)が代替するようになる可能性はあるのです。
ですから教師は勉強を教えるだけでなく、子供が人間との関わりで人格形成していくことが今以上に大きな役割を担うでしょう。トラブルや問題が起きれば、その状況判断や子供の気持ちを理解し対応する必要があります。そのような部分はAI(人工知能)には難しい仕事です。ですから教師という職業がなくなることはないでしょう。
医療・介護系の仕事
知識と体を使って人間と関わり、ときには臨機応変な対応が求められる介護職や看護士はAI(人工知能)にはできない仕事と言えるため、今後AI(人工知能)の進化とともに医療業界も変化してくと予想できますが、医師の仕事がなくなることはないでしょう。
現在でも病気の診断などでAI(人工知能)を活用し精度の高い診断結果を出しています。ですが患者の立場から見て病名を機械的に告げられることをすべての人が受け入れるのは難しく、感情のないAI(人工知能)が患者の気持ちに寄り添うことは難しいです。
そのため医療・介護系の仕事の中で部分的にAI(人工知能)が導入されても、完全にAI(人工知能)が代わって仕事をすることはないと言えるでしょう。
この他にも、「創造的な仕事」と「人間の感情に関わる仕事」で考えていくと、まだまだなくならない仕事はあります。
これから伸びる、成⻑すると⾔われている仕事・職業
ここまではAI(人工知能)の進化によって、なくなる仕事、なくならない仕事を紹介してきましたが、AI(人工知能)がさまざまな分野で活用されることで成長する仕事も出てきます。
そこで今度はAI(人工知能)時代を迎えて、これからの仕事として注目が予想される伸びる仕事、成長する仕事について紹介していましょう。
AIエンジニア
今後AI(人工知能)がさまざまな分野の仕事で活用されると、まずAIエンジニアの仕事が間違いなく成長していきますよね。
しかしこれから必要とされる仕事ですが、AIエンジニアは慢性的な人材不足でありAI(人工知能)業界の悩みでもあります。そのため、これからの仕事を考えるならばAIエンジニアという選択もいいのではないでしょうか。
IoT分野の仕事
近年になってIoT(アイ・オー・ティー)という言葉をよく耳にするようになりましたよね。
IoTはInternet of Thingsの略で、日本語に訳すと「モノのインターネット」になります。簡単に説明すると、さまざまなモノがインターネットに接続されて通信すること。
そしてこの集められたデータはAI(人工知能)を生み出す資源にもなります。
日本では来年から5G*通信が開始されます。
すでにIoTを活用した商品は登場しており、スマートフォンで家のドアを開閉できるスマートロックや自宅内の温度管理をしてくれる商品、家の家電とスマートフォンを連携させるサービスなどが登場しています。
そして5Gが実用され始めれば、これから一層AI(人工知能)、IoT関連の商品が開発され、IoT分野の仕事はAI(人工知能)とともに成長していくでしょう。
新しく⽣まれる仕事
ここまではAI(人工知能)の進化が与える既存の仕事への影響について紹介してきましたが、ここからはAI(人工知能)時代に入りまさに「これからの仕事」として新しく生まれる仕事を紹介します。
AI(人工知能)事業開発責任者
この仕事は企業にとってもAI(人工知能)でビジネス行うために必要になるので、AI(人工知能)に関連する新しい仕事として誕生が予想されます。
データ調査官
すでに企業は商品を売るために消費者のデータを収集し分析していますが、統計分析やデータ処理はAI(人工知能)の得意分野なので、今後AI(人工知能)が進化するとデータ収集と分析はすべてAI(人工知能)が行うようになっていきます。
今後人間が行う仕事はデータ調査官のように、AI(人工知能)が収集し解析行ったデータをどのように活かしていくかを考えることがポイントになるでしょう。
AI(人工知能)支援医療技師
この仕事は遠隔操作の設定だけでなく患者の自宅を訪れて、AI(人工知能)が搭載されたソフトウエアを使い診断を下せるよう支援することもこの仕事の一つになるでしょう。
AI(人工知能)支援医療技師の登場よって、すべての人がオンデマンドで医療を受けられる世界になり、患者は病院に出向く必要はなくなります。
散歩・会話の相手
人間はAI(人工知能)の医療への活用とバイオテクノロジーの進化で、これまで以上に健康で長生きができるようになり、今後高齢者は一層増えそうですよね。
すでに日本は超高齢化社会に入っており、今後増え続ける健康な高齢者が散歩や会話の相手を求める可能性があります。
またAI(人工知能)社会になり人と疎遠になりがちな人も多くなり、コミュニケーションを必要とする人が出てくることも考えられるので、散歩・会話の相手の仕事の高いニーズが予想されるでしょう。
この他にもAI(人工知能)時代に新しく生まれる仕事がいくつか予想されていますが、これは現在の予想であって、実際に誕生するかどうかハッキリとはしていません。
ひょっとすると現段階では考えつかないような、これからの仕事が生まれる可能性もあるでしょう。
お伝えしてきたようにAI(人工知能)によって、なくなる・なくならない仕事、成長する仕事、新しく生まれる仕事はさまざまでしたが、これからの仕事を考えるためには、まずAI(人工知能)について知ることが大切です。
AI(人工知能)は人間よりも正確に効率よく仕事を行えて単純作業が得意ですが、新しいモノを生み出す創造力や判断力がないことや、あくまでコンピューターなので感性がない2つの欠点があります。
そしてこれらの特徴から、現在人間が行っている仕事がこれからどうなるのかが分かり、AI(人工知能)がますます活用されるようになると、それに伴って新しく生まれる仕事も予想できます。
つまりこれからの仕事ではAI(人工知能)を抜きにして考えられなくなる、ということです。
現在のところAI(人工知能)によって仕事がなくなったという話を耳にしませんが、確実にAI(人工知能)が人間に代わって仕事を行う時代が迫っています。
そこで私たち人間もただ見ているだけでなくAI(人工知能)を理解して、現在就いている仕事が順調だとしても今後について考え準備しておく必要があるでしょう。