AIとは何か

人工知能が人を選定する?! AIが人間選別を進める現状と未来とは

人間選別のイメージ

「あなたの信用スコアは〇〇点です」「審査により新幹線のご利用はできません」などと、AI(人工知能)に人間選別をされ、行動を制限されたら・・・そんなの絶対に嫌ですよね。

今は「みんな違ってみんないい」と個性を大切にする平和な時代。なのに個人をランク付けしてまるで物のように管理する「人間選別」なんて。考えると恐ろしくなります。

この人間選別に対する恐怖は、もしかすると「将来AI(人工知能)が暴走して人間を支配する」という不安からきているのかもしれません。でも実際のところ、「AI(人工知能)が人間を支配する未来」は専門家の間でも否定的な意見が大半です。

お隣中国では人間選別の一種とも言えるような「信用スコア」がすっかり定着している様子。しかし日本でも最近は徐々に広まってきています。どうやら私たちは「人間選別」に対して、正面から向き合うべき時がきているようです。

そこで今回はAI(人工知能)が人間選別をする現状と未来について、より現実的な視点でお話ししていきましょう。

人間選別の噂の発端

噂のイメージ

「人間選別」という言葉はもともと、「やりすぎ都市伝説」というTV番組で関暁夫さんが取り上げたのが発端だと言われています。ちょっと不気味なこのワード、当時はネット上で話題になりました。

その「やりすぎ都市伝説」の内容は

  • 2018年、AI(人工知能)による人間選別が本格的に始まる。
  • AI(人工知能)がスマホなどを使って個人の発言・行動を監視する。
  • 蓄積されたデータを元にAI(人工知能)が人間選別をし、地球滅亡時は選ばれた者だけが救われる。
  • だから「SNSに余計なことは書くな。」

「信じるか、信じないかはあなた次第です!」とお決まりのキメ台詞で締める関さんの発言は、上記のような内容でした。

かなり現実離れした内容(地球滅亡時は火星に避難する等)も含まれていたようですが、AI(人工知能)というよく実態のわからない言葉が独り歩きし始めた頃のこと。オカルト好きな方にとっては格好の話題だったようです。

ただ、現実問題としてタイムリーだったとも言えるでしょう。それは当時次のようなことがあったから。

2013年、スノーデンによる、アメリカなどに対する情報収集の暴露。
2015年、中国、芝麻(ジーマ)信用による個人のスコアリング開始。
2016年、日本ではマイナンバー制度の導入

スノーデンの告発がニュースになった時は、「自分のスマホも監視されているのでは?」と不安になったものです。またマイナンバーの導入時も、国に管理されるような漠然とした不安がありましたよね。中国の信用スコアについては全く理解不能でした。このような背景からAI(人工知能)による「人間選別」がより身近に感じられたのでしょう。

次にAI(人工知能)が人間選別をする必要性について解説します。

AI(人工知能)が人間選別をする必要ってあるの?

選別のイメージ

さて「AI(人工知能)が人間選別をする必要性って実際のところあるの?」という問いについて。現実的な観点から言えば答えは「YES」でしょう。

「人間選別」というワードに差別的な印象があるので、そこは否定したいところですが。

その理由は、随分前から私たちは既に、人間によって選別されてきたからです。「選別」という言葉に驚かれるかもしれませんが、例を挙げるとクレジットカード契約時の「信用調査」です。

クレジットカードを申し込む時「こんなことまで?」と思うくらい、たくさん記入事項がありますよね。提出後は本人の申告に虚偽がないか審査し、カードを利用するにふさわしいかどうか、悪く言えば「選別」されます。

今までは手作業で行われてきたこの信用調査。これをAI(人工知能)が代行してくれるのなら使わない手はないでしょう。メリットは効率化だけではありません。人間は間違う生き物ですから、正確性から見ても断然AI(人工知能)に軍配が上がります。

このように、ここでは将来起こるかどうかわからない「AI(人工知能)が能動的に人間選別をする必要性」ではなく、「人間がAI(人工知能)を使って人間選別をする」場合について考えています。

実際、多くの方が今不安を抱いているのは「AI(人工知能)が人間選別をすることの是非」ではなく、根拠となるデータが「本人の同意を得た上で使用されているかどうか」ですよね。

この点については、次のAI(人工知能)が人間をスコア化する現状でご説明します。

AI(人工知能)が人間をスコア化する現状

スコアのイメージ

AI(人工知能)が人間をスコア化する現状について、その方面では先進国といえる中国の場合と、日本の場合にわけてみていきましょう。

まずは中国、芝麻(ジーマ)信用の実態から。

中国での信用スコアの現状

中国の巨大企業アリババグループの傘下「芝麻(ジーマ)信用」は、AI(人工知能)によって個人の情報を収集・分析し、信用スコアを使って格付けしています。自分のスコアはスマホ決済アプリ「支付宝(アリペイ)」上で確認できるしくみ。

そして芝麻(ジーマ)信用は、次のようなデータを元にランク付けを行っています。

  • 学歴、職業、社会的地位など
  • 資産や支払い状況、取引履歴、消費行動など。
  • 交友関係(相手の信用状況など)

友人の信用状況まで加味されているとは、日本人から見るとちょっと抵抗がありますよね。芝麻(ジーマ)信用は、評価方法は公表されているものの、何のデータに基づいているかまでは本人に知らされていません。

中国人がこの信用スコアを受け入れているのは、ランクが高いと多くの特典があるからでしょう。特典の一部を紹介すると

  • 融資や買い物で優遇される。
  • レンタル代金が割引・無料になる。
  • 賃貸の敷金他、各種のデポジットが不要になる。
  • 国によってビザが取りやすくなる。

この他にもスコアによってさまざまな特典が用意されています。またこのスコアは、就職の面接や婚活などでアピール材料にも使われているとか。もうすっかり定着している感があります。

では次に、日本の現状がどのようになっているのか見てみましょう。

日本における信用スコアの現状

日本でもここ数年、AI(人工知能)による信用スコアを使ったサービスが次々と展開されています。今回は

  • J.Score
  • Yahoo!スコア

この2つのサービスを取り上げてご説明します。

J.Score

「J.Score」はみずほ銀行とソフトバンクが立ち上げたフィンテック企業。無料のAIスコア診断を受けると、ランクに応じた特典を受けられるメリットがあります。診断にかかる時間はわずか数分。最低ランクでも各種クーポンやギフト券が揃っており、一般的な消費者金融と比べて金利もかなり低めなのでなかなか魅力的です。

診断の際の質問は従来の一般的な内容の他、「好きなスポーツ」「洋服の好み」「出身校」「性格」に関する質問まで。このあたりは自由回答ですが、詳しく入力することでスコアを上げることも可能になります。

J.Score

Yahoo!スコア

ヤフーはPayPay、ZOZOなど多くのグループ企業とデータ連携をしています。

Yahoo!スコアの発足当初「Yahoo!スコアの作成・利用」がデフォルトで「オン」になっていたため、専門家を中心に批判が集中しました。無意識のうちにネットでの情報を抜き取られ、ランク付けされるなんて、これは許せませんよね。

その後、デフォルトで「オフ」になるよう改正されていますが、心配な方はご自分のアカウントをチェックしてみるといいかもしれません。

Yahoo!スコア

ここでご紹介した「J.Score」や「Yahoo!スコア」の他、「LINE Score」やNTTの「ドコモスコアリング」などのサービスも既に始まっており、これらは全て「本人の同意」を得た上で情報が提供されるしくみになっています。2019年が「信用スコア元年」と呼ばれているのもうなずけますよね。

さて、次は未来のお話をしましょう。

AI(人工知能)が人間選別をする未来はやってくるのか

世界のイメージ

「人間選別」というと、この言葉の不穏な響きに心がざわつきますが、現在は「人間がAI(人工知能)を利用して、信用スコアという名の人間選別を行っている」と言えるでしょう。そしてこれらのサービスはあくまで人間主導ですから、メリットが多ければこれから未来に向かって拡大していくかもしれません。

中国では信用スコアが一般化されたことによって、マナーが向上したそうです。一方、一度下がってしまったスコアを上げるのは難しいというデメリットも。

日本でのメリットは、

企業側のメリット

  • 特典を用意することによって、多くの顧客データが集まる。
  • パートナー会社と連携することによって、より多くの情報が集まる
  • 顧客の信用度に応じた複雑なサービスを提供することが可能

顧客側のメリット

  • 特典やさまざまなサービスの優遇措置を受けられる。
  • 初対面の相手に自分の信用度を証明する手段として使える。

このサービスが一般的になれば、中国のように個人が自分の信用度を証明するためのツールとして利用できるでしょう。就職や婚活ではもちろん、WEB上での発言や個人売買の際、信用度が表示されると便利になりそうです。

また、シェアリングエコノミーが加速している昨今、信用ランクが高いと優遇されて何かと便利になりそうな予感。面倒な手続きなしで利用できるのは魅力的ですよね。

一方デメリットは、プライバシー問題。

  • 低いスコアがついた場合、回復させるのに時間がかかる
  • 正しくスコアリングされないと不利益を被る場合がある
  • 差別の原因となる
個人情報保護法では金融分野ガイドラインで機微情報(病歴、健康診断の結果、社会的身分、信条など)について「原則として、取得、利用又は第三者提供禁止。」とされています。

Yahoo!スコアのように、問題が表面化すれば改善要求を出すことも可能ですが、知らないうちに個人情報を収集・利用されていたら怖いですよね。

また不当に低いスコアがつけられてそれを元に判断されてしまったら、大きく人生が変わってしまう可能性もあるでしょう。海外では恋人と別れる原因になったり、結婚を反対されたりといったこともあるそうです。

 

人間選別のイメージ

今回は、「人間選別」の噂の発端から、AI(人工知能)が人間選別をする現状と未来についてお話しました。

今はまだ、人間の能力と同等の「汎用型人工知能(AI)」誕生に否定的な意見が多いため、「人間によるAI(人工知能)を使った人間選別」についてご説明しましたが、実際に「AI(人工知能)が能動的に人間選別を始めた場合」に不安を感じている方はこちらの記事をご覧ください。

人工知能が人間を選定!本当だった時のために今すぐできる4つのこと!
進化した人工知能が人間を選定し、必要のない人間を処分したり、人工知能(AI)によって行動を管理されるなんてことが実際に起こったら、怖いですよね。その時、人間はどのように対処すればよいのでしょうか。そこで今回は、もし人工知能が人間を選定した時にどうすればいいのかにお伝えしていきます。

スノーデン氏が暴露した「スマホが盗聴している」という話は一般庶民にとって現実味が薄いものの、関氏の「SNSに余計なことは書くな」については至極もっともな話です。特に誹謗中傷はデジタルタトゥとなって残り続けるので、信用スコアにも影響するかも。くれぐれも気を付けましょう。

日本の信用スコアは安心して利用できそうなので、一度診断を受けてみるのもいいかもしれません。特典も多いのでお得感満載です。これからはAI(人工知能)と仲良くして信用スコアをUP! 人より優遇された生活を堪能するのも楽しそうですよね。

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