インターネット上で商品を販売するWebサイト、つまりECサイトの運営業務は、仕入れから受注、出荷、アフターサービスなど多岐にわたるため、顧客ニーズの把握まではなかなか手が出せない、とお悩みの運営者の方も多いですよね。実はそんなお悩み解決に役立つ、「Web接客サービス」というAI（人工知能）を活用した便利なサービスがあるんです。
このAI（人工知能）を使った接客サービスを利用すれば、リアル店舗の場合と同じように、顧客来店時のあいさつに始まり、Web上でも顧客一人ひとりに対して丁寧な対応を自動的にしてくれるんです。
さらにAI（人工知能）によるWeb接客サービスは接客対応の自動化に加えて、顧客の気持をしっかりと把握し運営者に教えてくれる機能まで持っているんですよ。
ということで、今回は顧客の気持ちを教えてくれるAI（人工知能）Web接客サービス3製品についてご紹介します。
ZenClerk：クーポンがあれば買う人だけにクーポンを表示します
最初にご紹介するAI（人工知能）Web接客サービスはEmotion Intelligence株式会社が提供する「ZenClerk」です。
このZenClerkは、Webサイトに訪れた顧客のマウスの動き、スクロールやページ遷移などをAI（人工知能）が分析し、買うかどうか迷っている顧客だけに対してクーポンを画面表示できるんです！
ECサイト運営者は、誰にクーポンを表示すべきか、顧客を慎重に選定する必要がありますよね。例えば、ECサイトへの訪問者全員にクーポンを表示した場合には以下の問題が発生します。
- もともと購入意欲が高かった顧客もクーポンを利用してしまうため利益率が減少
- クーポンがないと購入しない、クーポン待ちの顧客を増やしてしまう
- 商品ブランドイメージを損なう
つまりクーポンを効果的に活用するには、購入すべきかどうか迷っている人の背中を押して、購入を決めてもらう必要があります。最初から購入する予定の顧客、購入意欲が低く眺めているだけの顧客にはクーポンを表示する必要はありません。
ZenClerkは、ECサイトにおける顧客の挙動をAI（人工知能）が分析し、購入すべきかどうか迷っている顧客かどうかを判断のうえ、クーポンを表示すべき顧客に対してのみクーポンを表示します。
加えてZenClerkは、使えば使うほどAI（人工知能）の学習効果によりクーポンが必要な顧客選定やクーポン表示タイミングの精度が自動的に向上してゆくメリットがあります。また、本サービスの料金が成功報酬型・定額上限制であることも人気の理由になっています。
ecコンシェル：顧客一人ひとりに最適なキャンペーンを行います
次にご紹介するAI（人工知能）Web接客サービスは株式会社NTTドコモが提供する「ecコンシェル」です。
ecコンシェルは、Webサイトにおける顧客の行動履歴などに基づき、AI（人工知能）が顧客一人ひとりに最適なキャンペーンを行います。ecコンシェルの主要機能は、１）ポップアップメッセージの表示機能、２）AI（人工知能）によるABテストの2点です。
ABテストとは「一部が異なるWebページを2パターン用意して、特定の期間においてどちらがより高い成果を出せるかを検証すること」です。
以下、主要機能の2点について確認しましょう。
１）ポップアップメッセージの表示機能
最初にECサイト運営者が対象顧客とキャンペーンの組み合わせを事前に定義しておけば、ecコンシェルが顧客のサイトアクセスログや購買履歴からどのキャンペーンのターゲット顧客かを判断のうえ、顧客一人ひとりが必要としているタイミングでキャンペーンのポップアップメッセージを表示してくれます。
（参考）キャンペーン例
- メルマガ会員を増やしたい：メルマガ登録画面へ誘導
- 時間限定を訴求し顧客の購買意欲をあおりたい：タイムセール実施サイトへ誘導
- 何度も訪問する顧客を初回購入につなげたい：初回購入限定ポイントプレゼント案内サイトへ誘導
デザイナーに依頼することなく、効果的なポップアップメッセージを作成することができる以下の機能を提供しています。
- 使用したい商品画像の切り抜き
- ポップアップメッセージを表示したいWebサイトのURLを指定すると、AI（人工知能）がWebサイトのカラー配色を判別し最適なカラーを選定
- デザインのニュアンスを「シック～にぎやか」「クール～ウォーム」「高級～お買い得」といった直感的な指定が可能
２）AI（人工知能）によるABテスト
一つのキャンペーン施策に対して複数のコンテンツを準備しておき、ABテストによりどちらが効果の高いコンテンツなのか判断できます。このABテストをAI（人工知能）で行うことのメリットとして以下の2点があります。
- AI（人工知能）がABテストの実施、結果の学習、反映、というサイクルを自動で行い、効果の高いコンテンツへ自動で切り替えてくれます。ABテスト結果データの集計と分析といった面倒な作業から運営者を解放してくれます。
- AとBという2パターンだけでなく、例えば10～20パターンについての同時並行テストにより極めて効率的なPDCAが可能となります。
Plan（計画）→Do（実行）→Check（評価）→Action（改善）を指します。
またecコンシェルは、ある顧客ターゲット層にキャンペーン施策を実施した場合と、実施しなかった場合との差分（純増売上）の通知機能も提供しており、キャンペーンの効果測定も可能なのがありがたいですね。
さらに、ecコンシェルは国内のAI（人工知能）Web接客サービスで唯一、無料プランが存在する点も人気の理由になってます。
KARTE：顧客の一人ひとりをしっかりと接客
最後にご紹介するAI（人工知能）Web接客サービスは株式会社プレイドが提供する「KARTE」です。
KARTEは、Webサイトに訪れた顧客を特性などによりセグメント分けするのではなく、顧客一人ひとりをしっかりと理解したうえで、顧客ごとの丁寧な接客を行います。
顧客一人ひとりの気持を理解するために、KARTEは顧客をリアルタイムに視覚化する機能を提供しています。具体的には顧客がサイト訪問している間、顧客一人ひとりについてのプロフィール、サイト内における動作および感情をリアルタイムにメッセージ、顔アイコンなどでわかりやすく画面表示してくれるんです。
このように視覚化することで、実店舗の場合に比べて顧客プロフィール（購買履歴、好みなど）、動作、感情などを確認しながら接客できるというメリットがありますよね。画面表示されるメッセージ例としては、以下のようなものがあります。
- 顧客プロフィール：「メルマガ購読あり」「来訪100回以上」「花柄が好き」
- 顧客の動作：「新着アイテムのページを見ています」「募集終了したページを見ています」
- 顧客の感情：「顧客満足度が上がりました」「買おうか、やっぱりやめようか」
例えば、顧客の動作が「5分以上同じページにいます」で感情が「ここからどう使えばいいんだろう」の場合には、あらかじめシナリオとして定義している対応「よくあるご質問を表示する」「チャットで話しかける」より、その場で選択し実行することができます。
ある事例では、Webサイトに初めて訪問した顧客に感謝を伝えるメッセージを画面表示した場合、売上が数十パーセント上がるケースもあったようです。ECサイトだと非対面の方が好まれると考えてしまいがちですが、一人ひとりちゃんと見ていることが顧客に伝わると購買意欲にも影響を与えるのかもしれませんね。
以上、今回は顧客の気持ちを教えてくれるAI（人工知能）Web接客サービス3製品についてご紹介しました。
Webサイトに訪れた顧客のマウスの動き、スクロールやページ遷移などをAI（人工知能）が分析し、買うかどうか迷っている顧客だけに対してクーポンを画面表示します。
●ecコンシェル：顧客一人ひとりに最適なキャンペーンを行います
Webサイトにおける顧客の行動履歴などに基づきAI（人工知能）がABテストを実施のうえ、顧客一人ひとりに最適なキャンペーンを行います。
●KARTE：顧客の一人ひとりをしっかりと接客
Webサイトに訪れた顧客一人ひとりをしっかりと理解することにより、顧客ごとの丁寧な接客が可能な環境を提供します。
顧客の気持を理解するためには「顧客視点が必要」とは良く言われるところですが、自分の立場に立ったまま顧客の視点を併せ持つのではなく、どれだけ顧客そのものの気持ちになりきれるか、が重要でしょう。
そんな観点から見ても、今回ご紹介したAI（人工知能）Web接客サービスは、顧客の画面操作分析（ZenClerk）、ABテスト自動化（ecコンシェル）、顧客のリアルタイム視覚化（KARTE）など、サービスごとに手法は異なりますが、いずれも顧客の気持をECサイト運営者にしっかり伝えてくれる製品であることがお分かりいただけるでしょう。
つまりAI（人工知能）Web接客サービスは、日々のサイト運営が忙しくてサイト改善まで手が回らない運営者にはとてもおすすめのサービスとなっていますので、興味ある方はぜひチェックしてみてくださいね。
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