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世界が終わるってホント?シンギュラリティは近いと言われる理由とは

シンギュラリティのイメージ

近年、科学技術の中で最も世界の関心を引いているものといえばAI(人工知能)ですよね。実際、囲碁のプロ棋士をAI(人工知能)が圧倒したというニュースや、高い精度を誇るAI(人工知能)の画像認識技術など、人間に一部分ではありますが勝っている例なども出てきていますし、このような状況をみていくと学者が指摘しているようにシンギュラリティは近いのかも知れません。

ちなみにシンギュラリティとは「技術的特異点」を表す言葉で、科学技術が大きく進歩することで、全く予想のつかない技術的な発展を迎えること。AI(人工知能)を例にしていくと、知能の面で人間を完全に超えた汎用的なAI(人工知能)が誕生することを意味します。

ですからこの「シンギュラリティは近い」ということについては、学者によっては好意的に受け止めている人もいれば、故ホーキング博士のように世界が終わってしまうと懸念を表明している学者もおり、意見が分かれているのです。

そこで今回は、このシンギュラリティとはどういうことなのかや、シンギュラリティが訪れるとどうなるのか。また、シンギュラリティは近いといわれる理由について説明していき、最後には、シンギュラリティは近いといわれている一方で、課題があることについてもお伝えしていきます。

シンギュラリティとはどういうことなのか

シンギュラリティのイメージ

まずは、シンギュラリティについてお話しましょう。

そもそもシンギュラリティとは数学や物理で使われる言葉です。意味としては、数学においては関数が無限大になるなど、ある点において本来適応されるべき基準が適用されない場合に使われてきました。

例えば、y=1/xという関数があったときに、xの値が0であったときがこれに当てはまります。この場合はyは有限の値を取るはずなのに答えは無限になってしまうため、この値をシンギュラリティ(特異点)と呼ぶのです。

一方で、現在シンギュラリティは近いという意味で使われるものはそれとは異なっています。

この場合では、技術的特異点(Technological Singularity)を意味しており、科学技術が大きく進歩することで、全く予想のつかない技術的な発展を迎えた局面のこと。

こちらに関しては、古くは1950年代に物理学や計算機科学で有名なフォン・ノイマン氏が言及し、現在はカーツワイル氏が2005年に出版した「シンギュラリティは近い」という書籍から広く一般化しました。

特にカーツワイル氏に関してはシンギュラリティは近いということを単純に説明しているだけでなく、2045年に機械が人間を超えるときが訪れるだろうと具体的に説明していることが特徴的だったため、大きな反響となったのです。

また、カーツワイル氏はその本の中で、

「シンギュラリティが起こる上では、AI(人工知能)とスーパーコンピューターがポイントである」

ともいっています。

これは人間よりも優れたAI(人工知能)がアイデアを出し、性能の高いスーパーコンピューターが実現可能か分析を行うことを繰り返すことで、格段に技術が進歩していくということ。

しかし、カーツワイル氏の書籍「シンギュラリティは近い」に関しては否定的な意見もあり、多くの研究者がシンギュラリティは近いとしています。

実際にシンギュラリティが訪れたときに世界は終わってしまうのか

シンギュラリティが近いイメージ

しかしシンギュラリティは近いといわれていますが、実際にシンギュラリティが訪れたときにどうなるのかを考えていくと、「世界が終わってしまう」などネガティブな意見を上げている著名人も少なくはありません。

これに関しては以下のような懸念によるもの。

  1. AI(人工知能)技術を悪用する
  2. AI(人工知能)が人間に反乱する
  3. AI(人工知能)が人間の仕事をすべてするようになる
まずこの「AI(人工知能)技術を悪用する」に関しては、AI(人工知能)技術を独占した人物がそれを悪用するのではないかという懸念です。人間よりも優れたAI(人工知能)であれば、人間以上の悪事を働くことができるかもしれませんよね。

ただし、非営利団体「OpenAI」が設立されるなど、AI(人工知能)技術を独占されることなく使えるような環境が整えられつつあります。したがって、このような取り組みが続けられるうちは悪用されることはないしょう。

次に、「AI(人工知能)が人間に反乱する」に関してですが、SF映画などで題材にされるように、機械であるAI(人工知能)が人間に反乱するのではないかという懸念です。
こちらについては昔からいわれてきたことであり、多くの専門家達がどうすればよいのかその方針を検討しています。具体的には暴走状態のAI(人工知能)を停止させる機能の開発など。

なお、現状のAI(人工知能)はいまだ汎用的なレベルには達していません。したがって、これから世界中の研究者や開発者が知恵を出していけば、シンギュラリティが起こるまでには解決されるのではないでしょうか。

最後に、「AI(人工知能)が人間の仕事をすべてするようになる」について。これは、発達したAI(人工知能)によって、人間の仕事がAI(人工知能)に奪われてしまうのではないかという懸念です。この懸念についてもイギリスの学者が、現在ある仕事の多くがAI(人工知能)に取って代わられてしまうという論文を発表しており、シンギュラリティを迎える上で考えていかなければならない社会問題となっています。

ただし、この問題に対しては過去の事例から考えていくと、解決策はみつけやすいでしょう。というのも、これまでも私たちは例えばイギリスの産業革命など、時代の大きな転換点を迎えてきました。

そして、それによって社会の仕組みが大きく変化しましたが、だからといって全体として仕事が減ったわけではありません。むしろ、それまでにない新しい仕事が生まれるなどして、総数としては増えているでしょう。

したがって、人間よりも優秀なAI(人工知能)が誕生したとしても政府が適切な対処を行えば、仕事が奪われたということはありません。

以上のように、実際にシンギュラリティが訪れたときにはさまざまな懸念がありますが、どれもきっと乗り越えていけます。ですから、シンギュラリティは近いということをネガティブに考えず、ポジティブにとらえていきましょう。

それでは次に、そもそもなぜシンギュラリティは近いといわれるのか、その理由を説明していきます。

シンギュラリティは近いといわれる理由について

シンギュラリティのイメージ

シンギュラリティは近いといわれていますが、具体的にいつ訪れるのかということについては研究者などで意見が分かれています。

上記でお話ししたカーツワイル氏は書籍「シンギュラリティは近い」では、比較的近い未来である2045年と予測。

それはなぜかと言うと、

  1. シンギュラリティはAI(人工知能)とスーパーコンピューターによってもたらされる
  2. ムーアの法則を一般化した収穫加速の法則

という理由からです。

まず、「シンギュラリティはAI(人工知能)とスーパーコンピューターによってもたらされる」に関しては、「シンギュラリティとはどういうことなのか?」でも触れたように、AI(人工知能)とスーパーコンピューターの両者が組み合わさることで技術が加速的に進歩していくと考えているからです。

これについてはAI(人工知能)は、人間には考え付かないアイデアを考え出すことができるので、十分あり得ることでしょう。そのため、確かにシンギュラリティは近いといわれる理由の1つになるのかもしれません。

次に、「ムーアの法則を一般化した収穫加速の法則」に関しては、カーツワイル氏は、シンギュラリティはAI(人工知能)とスーパーコンピューターによってもたらされることを説明するためにムーアの法則を一般化した、収穫加速の法則を理由にあげています。

なお、ムーアの法則とは、集積回路のトランジスタが指数関数的に増えていき、18ヵ月で倍になるという法則。

これによると私たち人間の知識は歴史をみていくと、文字の発明などによって段階的に進歩しており、数値的にはムーアの法則と同様に指数関数的に増大しているとのことでした。さらに技術的な面に関してもコンピューターの性能が飛躍的に向上しており、これも指数関数的に増加していると考えると、結果としては二重指数的に知識が増えていくと説明しているのです。

したがって、これを計算していくとおおよそ21世紀の中頃である2045年には、コンピューターはすべての人類の頭脳を超えると言われています。

あくまでもこれらはカーツワイル氏がシンギュラリティは近いと予測している理由になりますが、もしそうなれば私たちは大きな変化を迎えることになるでしょう。

そのため、明るい未来が訪れることを期待しながら、AI(人工知能)やスーパーコンピューターの進歩に注目してください。

 

現在のイメージ

今回は、シンギュラリティについてからシンギュラリティは近いと言われることについてお話しました。

それでは最後に、シンギュラリティは近いといわれている一方で、課題があることをお伝えしていきましょう。

上で説明したようにカーツワイル氏がシンギュラリティは近いといっている根拠には、コンピューターの性能が指数関数的に向上していく、ムーアの法則が成り立っていることが必要です。

しかし、こちらに関しては実はすでに破綻してしまっています。なお、なぜそうなってしまったのかといえば、半導体をより集約していこうとしていく過程で、リーク電流が流れるようになってしまったからです。

このリーク電流とは本来流れていけないところに電流が流れてしまう量子学的な問題で、使っている材料を変えるなど工夫したのですが、消費電力と熱は上がっていきました。そのため、ムーアの法則でいわれていたトランジスタが18ヵ月で倍になることは難しくなったのです。

こちらに関してはCPUをマルチコアにしていくことで対処していますが、やはり半導体を集約していくことが物理的限界に達しているのでしょう。したがって、シンギュラリティを迎えるためには、新しい技術的なブレイクスルーが必要とされています。

これまではシンギュラリティは近いといわれていましたが、現在抱えているこの課題がクリアできれば、シンギュラリティが本当に到来するかもしれません。そのため、その課題をどう乗り越えるのかにも注目していきましょう。

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