DX(デジタルトランスフォーメーション)

今のうちに知りたいSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは

SXのイメージ

最近は「サステナビリティ・トランスフォーメーション(以降SX)」をはじめ、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」や「ESG投資」「SDGs」など様々な新しい概念・言葉が誕生していますよね。

数年前と比較をしても、技術の進歩だけでなく、物事の考え方も早いスピードで変化をしていると感じます。

数あるワードの中でも最も新しい言葉は「SX」ではないでしょうか。

SXは2020年8月に経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」で触れられた言葉で、国も力を入れて取り組んでいくなど、今後の企業経営において非常に大切な概念となってきます。

そこで今回はこのSXについてその概念や背景、目的など順を追ってお伝えしましょう。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは何か

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まずSXとは企業と投資家間での「経営の在り方」「対話の在り方」です。

SXを提言して経済産業省では

「企業経営を取り巻く環境の不確実性が一段と増す中では、対話において前提としている時間軸を長期に引き延ばした上で、「企業のサステナビリティ」(企業の稼ぐ力の持続性)と「社会のサステナビリティ」(将来的な社会の姿や持続可能性)を同期化させる経営や対話、エンゲージメントを行っていくことが重要であるとし、こうした経営の在り方や対話の在り方」

と定義。

国としては企業と投資家が短期的ではなく、中長期的に協創して日本企業の価値を高めていくことを狙いとしており、そして今後も経済産業省としてはさらに具体的にこの在り方を落とし込んでいくと発表しています。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)の違い

DXのイメージ

さて、それではここ数年で良く耳にするようになったDXとSXの違いはどのような点でしょうか。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ITの技術でサービスだけでなく、ビジネスモデルひいては人々の働き方や社会生活そのものを変革させる概念です。
それに対してSXは、企業と投資家で「企業の稼ぐ力」と「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の両立を図るための在り方。

ですので、既存の概念からの「変革」という点では共通項がありますが、ベクトルは異なるものと言えます。

ちなみに、DXは2018年に経済産業省から提唱されていますが、SXは2014年の伊藤レポートが元となっており、異なる軸で議論されています。

よく「DXの次はSXか」という表現もありますが、新たにSXという概念も出てきたと捉えることもできるでしょう。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)が重要になった背景

世界のイメージ

ところで、現代はDXの技術革新や新型コロナの流行など、過去に類を見ないスピードで変化し、世の不確実性も増していますよね。また、日本企業の競争力は世界に遅れを取っている側面もあります。

加えて、社会構造や世界の関心ごとも変化をしており、現代の社会は環境の上に社会があり、その上に経済があるという構造に。

近年は国連の声明をはじめとして、世界全体が根底にある環境への関心が高まってきており、環境と社会への好影響ありきで、企業に価値が求められてきています。

このような背景から、企業が今後投資家をはじめとするステークホルダーから承認されるためにも、サステナビリティを意識して経営へと転換することが大切になったのです。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の目的

会社員のイメージ

それでは今度はSXの目的を見ていきましょう。

SXの大目的は日本企業の価値の最大化です。

そのために経済産業省は企業価値の最大化のためには何をするべきなのか議論を重ねており、2014年の伊藤レポートで提言された「企業が投資家との対話を通じて、企業価値を持続的に高めていく」ことを一つの結論としています。

これの推進のためにSXが初めて言及された「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が立ち上がりました。

経済産業省は、この不確実な世界の中で日本企業が世界に対して競争力を持つためには、短期的な利益を追いかけるのではなく、「企業の稼ぐ力の持続性」と気候変動などを筆頭とする「社会のサステナビリティ」の両立が重要であると位置付け、SXという概念を提唱しています。
SXの提唱する企業と投資家の在り方が実現することで、経済活動と社会サステナビリティが両立され、日本企業は世界の投資家からも評価され、投資が集まる→さらに経済活動を最大化する、という好循環が生まれるのです。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の課題

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また経済産業省からは大きく2点をSXの課題として上げています。

1つは、対話の「中身」における課題。

これは企業と投資家間で考え方や捉え方にギャップが発生しています。

例えば、企業は現代の不確実な社会の中で、リスク分散をするべく事業の多角化をしますが、投資家としては本事業とのシナジーが感じられなかったり、トラックレコードがないため評価ができないとなってしまいますよね。
また、社会サステナビリティへの取り組みも、企業は何が正解で投資家から評価されるかの確信が持てず、一方の投資家としてもESG投資の学術的な定見がなく、評価の均一化が図れていません。

この「中身」の課題に対して、経済産業省は対話の時間軸を長期化して考えることで、何度も対話をし、変化にも対応していくことを解決策と捉えています。

そしてもう1点の課題は、対話の「手法」における課題です。
これについて、企業側としてはIRや対話の一般的なものや正解が分からず、自社の手法確信が持てず、具体的な実践方法を模索。一方で投資家側としては、企業の発信や対話に経営トップが関与しておらず、対話内容が経営層に響かないと感じているのです。

この「手法」の解決方法としては手法の共有化を進めたり、企業が置かれている状況に応じて重点内容を整理する必要性を提唱しています。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)実現に向けて取り組むべきこと

取り組むイメージ

さて、SXの課題をお話しましたが、実際実現に向けて取り組むべきことは何でしょうか。

そもそもSX自体が2020年8月に出てきたキーワードであるため、まだまだ世の中に浸透をしていません。すなわち、企業の社員にも認識の濃淡があることが想像できます。

また、上記課題にもあげられるように、新しいが故に企業も投資家もいわゆる確固たる「正解」は持たないまま進めています。

このことからもSXの旗振り役となるサステナビリティ推進者(主に経営企画が当たるでしょう)と経営陣が常に新しい情報をインプットし、それを社員全員の当たり前にできるように教育・発信をし続けることが大切でしょう。
並行して、投資家やステークホルダーとの対話を続けることも重要です。SXへの取り組み手法や認識のギャップなどが各立場で存在するので、世間一般との認識をすり合わせることで自社での推進に活かしていけるでしょう。

 

企業のイメージ

今回はSXについてご紹介しました。

SXというキーワード自体がごく最近のものであり、SDGsやESG投資の流れを組んでいる概念でしたよね。

SXは世界の潮流としてもSDGsをはじめとする、環境や社会へ配慮した経済活動が求められていたり、DXなどのビジネス構造変革が起こっている現代だからこそ、出てくるべくして出てきた概念とも言えるでしょう。

概念の内容や経済産業省が提言をしており、これからより具体的な手法についても議論を進めていくと発言していることからも、加速度的に重要度も増していきます。そしてより一般的に浸透する考え方になるでしょう。

是非SXという概念を早期に学び、自分ごととして捉えて仕事に活かしていけると良いですよね。

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