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今更聞けないヘルステックとは?基本からポイントや事例まで徹底解説

ヘルステック のイメージ

日本で初めて世界最大規模のヘルステック・カンファレンスが開催されたのが2015年の話です。

当時「ヘルステック」はまだ聞きなれない言葉でしたが、テクノロジー開発の聖地でもあるアメリカのシリコンバレーではヘルスケア市場の拡大によりこの言葉が大変注目されていました。

私たちの周りでは通信網の高速化が進み、スマートフォンなどのデバイスやAI(人工知能)など、ありとあらゆるテクノロジーが進歩していますよね。

ヘルステックも同様に2015年から現在までさらに成長をし続けており、今後の日本医療業界の課題解決にヘルステック導入が欠かせないと言われています。

しかし日本の医療業界が抱える課題とは何なのでしょうか。そしてヘルステックがどのように私たちの生活を変えていくのでしょう。そこでヘルステックについてお伝えいたします。

ヘルステックとは何か

ヘルステックのイメージ
ヘルステックとは、「健康のヘルスケア」と「テクノロジー」のテックがくっついた言葉です。
ここでいうテクノロジーとは、「AI(人工知能)」「IoT」「ウェアラブルデバイス」「クラウド」「モバイル」。

ですからヘルステックは、治療や診断など医師が関わる部分だけでなく、病気の予防、健康管理、ウェルビーイング(健康である状態)に関わる部分をより良くする注目のテクノロジーということです。

ヘルステックのポイント

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ヘルステックのポイントとして知っておいて欲しいのが、まずは医療費高騰問題でしょう。

2025年までに団塊世代(1940年代後半に生まれた人たち)が後期高齢者(75歳以上)となり、生活習慣病や慢性疾患の患者が増え、医療費の増加につながるという問題です。

日本では今まで医師の診断や治療に対しての医療水準向上のみを焦点に置いて、予防による健康の維持という観点で十分な対策や措置を行っていませんでした。

健康状態が悪化してから診断や治療を受けるという悪循環が常態化しており、患者数の増加が懸念されています。今後医師不足と重なって医療側の負担が大幅に増えることは間違いないでしょう。

そこで2025年の医療費高騰問題にブレーキをかけるため、今ヘルステック導入が重要なポイントといえます。

オンラインによる医師相談やデバイスによる健康チェックなど病気を予防するための技術が進むことで医療業界の課題解決に繋がります。

ヘルステックとクロステックの関係

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ところでクロステックとは、既存の業界に新たなテクノロジーを加えて、新しい価値を提供する製品やサービスです。

そのテクノロジーにはAI(人工知能)、ビッグデータ、位置情報、ロボット、高機能センサー、VRなどの最先端のテクノロジーがあり、組み合わせることで新しい価値をもった製品やサービスが生まれます。

このクロステックのテクノロジーとヘルスケアを組み合わせたのが、ヘルステック。いわゆる「親子関係」に近いと言えるでしょう。

ヘルステックのメリットデメリット

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それではヘルステックを医療業界が使うメリットについてお話しましょう。

まずメリットとしてお薬手帳がデータ化されクラウド管理が可能になることが挙げられます。
また、クラウド管理にすることにより、旅先で病気になっても病院で患者の処方薬情報が共有できるので医師の対応もスムーズになるのです。
患者のカルテについても電子カルテを使う事で病院間で患者の情報を共有できるようになり、レントゲンやMRI(磁気共鳴画像装置)の画像などもビッグデータとAI(人工知能)を使い、医師の目だけでは判断できなかった患者の疾患までも発見できるようになるなどのメリットもあるでしょう。

しかし、ヘルステック注目の裏にはデメリットも見え隠れしています。

それは、セキュリティの問題。
まず挙げられるのが個人情報。患者のデータがクラウド管理で共有が容易になるという事は、誰もが簡単に患者の個人情報を見る事が出来てしまいますよね。病歴や身体についての情報はプライバシーに関わるので慎重に扱わなければなりません。
さらにもう一つは、悪意のあるハッキングです。ハッキングはご存じの方もおられると思いますが、企業のビッグデータ(企業の顧客情報など)に外部からコンピューターウィルスを飛ばし、データを乗っ取る行為。

情報の漏洩はもちろん、情報を書き換えられるなどウィルスに犯された場合の被害は計り知れません。ハッキングにより処方される薬の量を勝手に書き換えられたり、ペースメーカーを遠隔で操作するなどの恐ろしい可能性も指摘されています。

ヘルステックの最新技術を使った製品が生まれても、患者の命を脅かされるセキュリティの弱さでは話になりません。しかし今後このようなデメリットも改善され、安心して使えるヘルステックが期待されています。

ヘルステックサービスの事例3つ

事例を見るイメージ

それではヘルステックサービスで注目されている会社事例を3つご説明いたします。

LINEヘルスケア

LINEヘルスケアは、LINEでお医者さんと相談できるヘルステックサービスです。

簡単に相談できる分、オンライン診療などと違い具体的な診断や薬の処方などはできませんが、「夜に急に熱が出て、かかりつけの病院が閉まっていてどうしていいかわからない」「対面で相談しづらい便秘などの悩み」「肌に急にポツポツが出てどうしていいかわからない」などの問題を、医師とリアルタイムで相談ができます。投稿型の相談も可能で、医師から回答を受けられます。

日本国民のおよそ72.6%使用している「LINE」。簡単なインターフェースで使いやすく医師との相談もしやすいサービスですよね。

LINEヘルスケア

KDDIスマホdeドック

KDDIが運営する自宅で血液検査ができるヘルステックサービス「KDDIスマホdeドック」をご紹介いたしましょう。

生活習慣病チェックや胃がんリスクのチェックが可能で、検査結果をスマートフォンで確認できるだけでなく検査結果確認後30日間無料で専門家に健康相談ができます。

採血は自分でしなければいけませんが、通常の血液検査の150分の1の血液(0.065ml)だけなので簡単に採血可能。

コロナ渦の中、病院にいくのを躊躇っている方にも安心して検査できるヘルステック製品だと言えるでしょう。

KDDIスマホdeドック

Fitbit

「Fitbit」はアメリカのサンフランシスコに本社を置き、健康づくりやウェルビーイングをテーマにした商品を展開する会社です。

ウェアラブルデバイスを使い新しい体験を提供するヘルステックサービスの1つで、心拍数測定、1日のアクティビティの記録、より良い睡眠を助けてくれるなど、ヘルスケア機能が充実した製品。

スマートフォンのカレンダー、着信、メッセージなどを通知してくれる連携機能や10日間継続稼働バッテリーの導入、直感的で簡単操作など、使いやすさを考えたヘルステック製品と言えるでしょう。

Fitbit

ヘルステックで変わる今後とは

ヘルステック の今後のイメージ

さてヘルステックは今後さらに成長していきます。

オンラインでの診療が発達し、処方される薬も薬局に行かずに自宅へ届けらるようになっていくでしょう。そして病気がなおってからの日々の健康管理やデイリーケアまでをAI(人工知能)やロボットがサポートするようになります。

ですからヘルステックは、2025年の高齢者増加による医療費高騰問題を解決し、私たちの生活をより良いものにしていくことでしょう。

 

ヘルステックのイメージ

ヘルステックについてお伝えいたしました。それでは最後に簡単なまとめを。

ヘルステックとは、ヘルスケアとテクノロジーをくっつけた言葉であり、日々の健康管理や病気の予防をAI(人工知能)やIoT、ウェアラブルデバイスなどの技術で、サポートする製品やサービスです。

そしてヘルステックは今日本が直面している高度高齢化社会による医療費高騰問題、医師不足による地域格差などを解決手段として注目されています。

ヘルステックとクロステックの話がよく出てきますが、クロステックはヘルステックの親的存在で、あらゆる産業をテクノロジーに組み合わせ、新しい価値を産出することを目的としています。そして、クロステックで言及されるテクノロジーとは、AI(人工知能)、ビッグデータ、位置情報、ロボット、高機能センサー、VRなどの最先端のテクノロジーです。

例を上げると「Fintech(フィンテック)」は「Finance(金融)」とテクノロジーを合わせていますし、「Agritech(アグリテック)」は「Agriculture(農業)」とテクノロジーを合わせていますよね。

ヘルステックは医療だけでなく個人の健康管理の進展に大きなメリットを与えてくれますが、セキュリティ面でのデメリットがありました。

現在ヘルステックはさまざまな会社が参入しており、新しい製品やサービスが次々と生まれていますが、オンライン上でのセキュリティーがまだ完全ではありません。ハッキングによる、個人情報の書き換えやペースメーカーを遠隔操作などの可能性も指摘されており、成長過程なだけにまだまだ不安な部分でもあります。

また、ヘルスケアのサービスで大手の「LINE」や「KDDI」などもヘルステックに関わっており、医療やヘルスケア関係の会社だけでなくさまざまな会社が製品を生み出しています。

これからのヘルステックサービスは、小さな子どもがいる家庭などの助けになることはもちろん、高齢化、医療費の高騰、医療格差、医師不足の問題など、日本の医療が抱える数々の問題を根本から解決するかもしれません。ですからヘルステックを見守っていきましょう。

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